第33話 前世の記憶

■前世の始め


過去世での出来事が断片的に蘇り、ハジメはそれを受け入れ始める。


ナビ:夢の中でハジメは過去の自分と対話する


ハジメは再び夢の中で過去の自分と思われる人物と出会う。


・過去の自分


ハジメ:今回の夢は僕ひとりだけ…


ハジメ:ということは…


ハジメ:個人の夢か特殊な夢のどちらかだ…


過去:よう!


ハジメ:あっ!あんたは…


ハジメ:過去の俺!会いたかったぞ…


ハジメ:よくも「あのとき」に僕を助けたな!


過去:なっ…おい!いきなりどうしたんだよ!


過去:あのときって何だよ!


ハジメ:とぼけても許さないぞ!


ハジメ:なんで僕を助けた?


過去:ちょっと落ち着けよ!


過去:何を言ってるのか意味がわかんねーよ!


ハジメ:友達を見捨てやがって!


ハジメ:あんただけは絶対に許さない!


過去:はああ?見捨てる!?


過去:何いってんだおめー?


過去:俺は誰も見捨てたりなんかしないぞ?


過去:なんで俺が人に恨まれなきゃいけないんだよ!


過去:ましてや未来の自分に…


話が平行線の二人のハジメ。


ハジメはあのときの文句を言い、過去のハジメは何も知らない素振りを見せる。


・過去の自分との対話


ハジメ:あんたが俺を助けなければ…


ハジメ:友達は生きていたかもしれないんだ!


過去:だから言ってる意味がわかんねーよ!


過去:だいたい、なんで助けられたお前が俺に文句を言うんだよ


ハジメ:うるさい!僕はあのとき、あんたに助けられなくても…


ハジメ:生き延びることができたんだ!


過去:俺がお前を助ける?意味がわかんねーよ!


過去:俺は、お前を助けたことなんか一度もねえ!


ハジメ:それなのに、あんたは近くにいた友達を見捨てて…


ハジメ:遠くにいた僕を優先して助けたんだ!


過去:ダメだこりゃ…本当に何を言ってるのか…


過去:参ったな…どうすりゃいいんだ?


過去:んっ…待てよ…


■過去との論争


過去:そういや…自由に変身できる賢者がいたな…


ハジメ:まだ、シラをきるつもりか…この薄情者!


過去:俺が薄情者!?


過去:言ってくれるじゃねーか、このガキが…


過去:ハジメ…お前、なんで俺が「過去の自分」だとわかった?


ハジメ:それはあんたが以前、僕に助言してきて…


ハジメ:夢の城で何を求めてここにって…


ハジメ:記憶を辿って真実を見つけろって言ったじゃないか!


過去:俺はお前とそんな会話したことなんか一度もねーぞ?


過去:それは本当に「過去の自分」か?


ハジメ:えっ…でも、あんたは僕に助言…


ハジメ:この前だって紋章を見つけて鍵を…


過去:ちょっと待て?


過去:俺は今、初めてお前に会ったばっかなんだぞ?


過去:お前とこうやって話すこと自体、初めてだぞ!


過去:お前からしたら俺は過去の記憶として見えているのだろう…


過去:だがな、俺からしたらお前は「未来の自分」だ!!


ハジメ:あっ…本当だ


ハジメ:あんたからしたら…僕は「未来の自分」だ


過去:俺からしたら未来の自分へメッセージを残そうとしているつもりだが…


過去:なんで、いきなり未来の自分から文句いわれなきゃいけないんだよ!


過去:俺が明日、明後日のことなんかわかるわけねーだろ?


ハジメ:はっ!!


ハジメ:確かに…そうだ


・論争の終結


ハジメ:そもそも「過去の自分」って誰が決めたんだ…


過去:…だろ?


過去:だいたい、その「過去の自分」とやらにちゃんと聞いたのか?


過去:「あなたは僕の過去ですか?」って


ハジメ:いえ…聞いてないです…


ハジメ:過去の自分って僕の勝手な思い込みだ…


過去:いいか?ハジメ…


過去:いや…未来の俺!よく聞けよ…


過去:物事を全て自分主体で考えるなよ?


ハジメ:はぃ…


過去:世の中全てがお前の思い通りには動いていないんだ


過去:何があったか知らんが…


過去:調子乗ってんじゃねーぞ?


ハジメ:はぃ…


過去:わかったか?この若造が!


過去:わかったら、きちんと返事ぐらいしろ!!


ハジメ:はい!!


ハジメ:本当にすいませんでした…


ハジメ:全て僕が悪かったです!


過去の自分に論破され、おまけに説教を受けて反省するハジメであった。


つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る