第16話 過去の影

■過去の始め


夢の中で、ハジメは過去の自分と思われる人物に出会う。


その出会いにより、過去の記憶が断片的に蘇り始める。


ナビ:ハジメは夢で自身の過去を知ることになる


・混沌とした夢の中


夜、ハジメは疲れ果てた体をベッドに投げ出し、深い眠りに落ちた。


夢の中で、彼は古びた城の中を彷徨っていた。


薄暗い廊下を進むと、古い肖像画や錆びついた甲冑が並んでいる。


彼の足音が石畳に響き渡る。


ハジメ:な…なんだ?


ハジメ:また夢の雰囲気が違うぞ?


ハジメ:ここはお城か?


ハジメ:やっぱりここも…


ハジメ:僕は来たことないのに…


ハジメ:来た記憶があるぞ…


ハジメ:不思議な感覚だ…


ハジメ:僕は知らないのに…内部の構造がわかる!


辺りを見渡すハジメ。


彼の姿を物陰から確認する影が二つあった。


謎の老人:彼は来たのか?


デルニ:ええ…予定通りね


デルニ:連れてきたわよ…


謎の老人:そうか、では…


謎の老人:よろしく頼むぞ!デルニちゃん…


デルニ:…いくわよ!


謎の老人はデルニに合図を送る。


デルニは老人の額に手を掲げた。


デルニ:…上手くいってよ…


デルニ:ハァー…セインツ!!


謎の老人:おお…これは!!


次の瞬間、老人の姿が変化していく。


デルニ:クッ…慣れない体じゃ…


デルニ:ハァハァ…力が抜けて…


デルニ:仕舞いよ!セイラライ!!


デルニ:ハァハァ…上手くいった!


謎の老人:おお…こいつは凄い!


謎の老人:噂通りの能力だな、デルニちゃん


デルニ:「これが…賢者の能力…」


謎の老人の姿は若返ったようにも見える。


デルニ:ハァハァ…あまり長くは持たないわよ…


デルニ:あと、その呼び名やめてください


デルニは不機嫌そうに伝える。


謎の老人:ああ、すまなかった


謎の老人:今はその名で呼んではいけなかったんだな


謎の老人はデルニの肩をポンポンと二度叩いた。


・出会う二人


ハジメは城内を散策していた。


ハジメ:ここに来た事もないのに…


ハジメ:記憶だけはあるよ…面白いなこの感覚…


ハジメ:ここも変わってないな…


ハジメ:ん?この場所もどこかで…


ハジメ:見たことがあるような…


突然、彼の前に朧げな人影が現れる。


謎の中年:よう!


ハジメ:……ん?


ハジメ:えっ…あっ…


ハジメ:あああっ!?


その人物はハジメに似ているが、衣装や姿勢が異なり、まるで過去の時代から来たかのようだった。


ハジメ:まさか、これは…


ハジメ:僕自身は会ったことがないけど…


ハジメ:記憶にはしっかりと残っている…


ハジメ:誰でもない…これは僕自身だ!


ハジメ:過去の僕だ!!


謎の中年:よくわかったな!


謎の中年:デルニちゃんの言う通り…


謎の中年:やはり、この姿が正解か…


人物は優しい目をしており、微笑みを浮かべてハジメに近づいてきた。


■過去


ナビ:過去の自分となる謎の中年を見て、過去を思い出すハジメ


・蘇る過去の記憶


ハジメ:記憶に鮮明に残っているぞ…


ハジメ:これが僕なのか…


過去の自分と思われる人物がハジメに語りかける。


謎の中年:「君はここに何を求めているのか?」


ハジメ:僕が…求めるもの…


ハジメ:…ここに?


ハジメ:「…あっ!?」


その問いかけにハジメは戸惑いながらも、心の奥底で何かが呼び覚まされる感覚を覚えた。


突然、彼の脳裏に断片的な映像が浮かび上がる。


幼い頃の記憶。


庭で遊ぶ自分、両親と過ごした穏やかな時間、そして何か重要なものを探している感覚。


ハジメ:もしかして…


ハジメ:「…あのときの!」


ハジメは忘れていた何かに気付いた。


謎の中年:もう気付いたか…


謎の中年:流石、選ばれし者だな…


過去の自分と思われる人物は言葉少なに語り続けた。


謎の中年:「その答えは君の中にある…」


謎の中年:「記憶を辿り、真実を見つけるのだ!」


ハジメ:僕の…記憶…


ハジメ:誰でもない…僕自身の記憶だ…


ハジメ:過去に…真実が…


ハジメ:僕自身の過去に…真実が?


謎の中年:じゃーな!青年よ!


ハジメ:…うっ!


「その答えは君の中にある。記憶を辿り、真実を見つけるのだ」


この言葉が後に彼を突き動かすきっかけとなる。


つづく。

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