第39話 制圧完了
トロールの首を吹き飛ばしたのは蟹江静香だった。全力の筋力で振り下ろされる大斧捌きは処刑人の様に鮮やかであり、トロールの頭を斬り飛ばす。
『武器も置かずに跪くヤツが、降伏するわけがない。死んで経験値になってくれた方が遥かに有意義だ』
――――――――イベント戦闘終了。
報酬――――――――
経験値+250000
――――――――入手。
『タワーオフェンスモードが終了しました』
天の声システムによる通知が行われ、
この時点で全員のレベルが上昇した。
〈状態〉 デスマスク 中型 LV3
〈称号〉 親喰らい
〈名前〉
HP 568/568
MP 256/256
筋力 136+2 器用さ 141+8
頑強 138+2 知能 148+2
素早さ 140 幸運 156
〈
捕食 作成 製薬 念話
〈攻撃系
カルチノーマの鋏 薙ぎ払い
〈基本系
筋力+LV1 頑強+LV1 器用さ+LV4
知能+LV1 英祖の力
〈攻撃系魔法〉
ファイアーボール ストーンシャワー
〈補助系魔法〉
ビルドパワー
〈装備〉 大魔獣の鎧(防御力+20)
〈呪い〉 必要経験 3倍
――――――――――――――――
〈状態〉
〈称号〉 愛されしもの
〈名前〉
HP 690/690
MP 582/582
筋力 184 器用さ 182
頑強 187 知能 183
素早さ 180 幸運 190
〈
〈攻撃系
〈基本系
〈変質系魔法〉
――――――――――――――――
〈状態〉 雷撃蜂 小型 LV5
〈称号〉 親喰らい LV5
〈名前〉
HP 480/480
MP 420/420
筋力 126 器用さ 136+4
頑強 123 知能 125+4
素早さ 123+4 幸運 125+2
〈
〈攻撃系
〈基本系
素早さ+LV2 器用さ+LV2
知能+LV2 幸運+LV1 蝕の因子
――――――――――――――――
経験値の影響を受けたのは三人だけなく、ヒールによる支援を行っていたツェルンも同様であった。彼女は自分の中に尋常ならざる力が芽生えてゆく様に、言葉を失っている。
『ツェルン。あなた、レベルアップした事はなかったの?』
彼女は首を縦に振り、何とかして言葉を搾りだそうとしている。混乱の為か、念話による会話も覚束ない様子となっていた。
『神子は長年修行を積んできましたが、
『
『【
『天の声、ツェルンの
『ご明察です、蝶子さん。ツェルンはお三方と行動を共にしていた為、システムには仲間という認識をされています。例えるなら亀之助君と同じような対応ですね』
〈状態〉 神子 LV25
〈称号〉 精霊国の神子 LV3
〈名前〉 ツェルン・ゴルプベルガー
HP 130/130
MP 520/520
筋力 6 器用さ 13
頑強 4 知能 36
素早さ 8 幸運 69
〈
〈攻撃系
〈基本系
〈補助系魔法〉 ヒール
――――――――――――――――
『人間の
『天の声としては何とも言えませんね。サンプルが圧倒的に足りませんので』
蟹江静香は自分を死に追いやった魔法使いの
『そうだ、蟹江先生。この際ですから、試したい事がありますの……!』
鳴海蝶子の発案で、ツェルンから全員にヒールを教わろうとしたが、人間の感覚とモンスターの感覚が合致せず、習得する事が出来なかった。
『妖精とサムソンからは魔法を習得できたのに、人間だと出来ないのか……』
ヒールが習得できなかった事に対し、蟹江静香と鳴海蝶子は少し残念な空気をだしていたが、この中でただ一人、真っ当な感性を持っている存在が居た。
『生存者の確認……しなくていいのぉ……?』
相塚みんとはそう提案をするが、残りの三人はレベルアップの感動に全ての感情を支配されていた。それ程に莫大な経験値が降って湧いたのだ。
『みなさま。お手数ですが、神子の代わりに目視で生存者を確認してくださいまし』
気配でしか相手を認識できないツェルンは、蟹江静香に乗った状態で呼びかけを行い、生存者がいないか探索を始めた。
拠点内探索中……【マスク判定】
時間を掛けて拠点内部を隈なく探索したものの、生存者は見つからず、その代わりに人間の遺体が大量に発見された。食い散らかされ、破損し、異臭を放っている。
『シズカ様、奥の部屋に薄い魔力が……! 生存者かも……!』
ツェルンはほんのわずかな希望を見出すが、他の三人はすぐに察した。
ゴブリン達が後生大事にしていた存在。それは次世代のゴブリン達である。この場に存在している個体は全て生まれて間もない赤ん坊であり、世話係すらも戦いに駆り出されたという様子であった。
『……人間ではなかったのですね……。シズカ様、申し訳ありませんが小鬼たちの処理をお願いできませんか? 神子の細腕では小鬼一匹まともに殺す事は叶いません』
『わかった』
ゴブリンの赤ん坊たちは、その場で残らずひき肉となった。
冷静であれば、その場でゴブリンの赤子が捕食の対象に成り得るのか等の実験を行う所だが、大量の死体を発見した後では、その気力も湧いては来ない。
『
『――肉体には適応しませんでした』
「あー……残念……この大量のゴブリンが捕食できれば、相当なパワーアップが望めたかもしれないのに……!」
「わたくしも挑戦してみましたけど、
「残念だけど……燃やすしかないね……」
このまま放置すれば大量のゴブリンが腐敗し、病気が蔓延してしまう恐れがあったため、急いで焼却の準備が始まった。蟹江静香のファイヤーボールが唸る。
『分析を行ったところ、お二人の現在の
オペレータシステム天の声の分析によれば、もう格下を捕食して手に入る強さはないと云う。
「トロールは蟹江先生が捕食してください、わたくしは今回遠慮しておきますわ」
「じゃあ遠慮なく、頂きますね~。ちょいと火で炙ってみたりして……!」
蟹江静香は大斧で大胆にトロールを輪切りにし、そのまま引っかけてゴブリンを焼却している炎であぶり始めた。辺りには焼けたトロール肉の香りが漂う。思いの外良い香りであり、蟹江静香は焼き目をしっかり付けて食べ始めた。
『
【2】【4】
『――知能+LV2を取得しました』
「このトロール肉、すごく美味しいんだけど……皆も食べてみない?」
その言葉と匂いに釣られて、全員はトロールの肉に手を付けた。
【トピックス】――――――――
レベルの高いモンスターは美味しい。
――――――――――――――――
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