第22話 クリティカル
カニ生活20日目――――――――
――蟻塚住宅
起床してすぐに、木下藤吉は進化の状態に入った。
進化の条件は細かく分類され、そのすべてが未知の情報である。進化が遅れたという点もあるが、今回の場合は怪我の功名と言わざるを得ない。
本来のオールマイティ系進化による、
その間、時間を浪費することは無く、蟹江静香は拠点周辺を探索することにした。
【トピックス】――――――――
進化を行う際は無防備になってしまう。安全な拠点で行うのが無難だろう。
――――――――――――――――
――熱帯平原
探索判定【2】【4】 周囲は静まり返っている……。
拠点である蟻塚から、移動する事しばらく、先日のボス級2体を討伐した影響なのか、遠くに見える動物たちも、蟹江静香に恐怖を抱き、視界に入ろうものなら即座に逃げ出している。レベル上げを目的としていた彼女は肩透かしを食らうも、探索に精を出した。
探索判定【2】【5】 周囲は静まり返っている……。
厳しい日差しの所為もあって、地味に体力が削られている。保水性の高いデスマスクには大したダメージにはならないが、ストレージから水を出してはこまめに補給を行う。デスマスク特有の視力で辺りを見渡しても、動物一匹見つからない。
探索判定【6】【6】 クリティカル! 視界の端に何かを捉えた。
熱帯平原の暑さにやられたのか、バッタの様相を模した二足歩行の生物が横たわっている。まさに虫の息といった様子だが、助かる見込みは高い。蟹江静香はインベントリから水を取り出し、この生物に浴びせた。
「がちがち! がちがち……!」
バッタの様な生物は口を鳴らし、水を取り込んでいる。
「よかった。まだ息がある……! この感じ、明らかに私の生徒だ。まだ誰かは分からないけど、こんな生物が自然界に存在している筈がない」
『オペレーターのシステムデータを同期しました。会話可能です』
「大丈夫⁉ もっと水を掛けてあげるわ。私は蟹江静香、あなたは誰なの?」
相手は流し込まれる水を、ただひたすらに飲み続ける。それが終わると、水分が行き渡ったのか、全身の筋肉が膨張していく
「ふぅ……! 先生助かりました! オレ! 復ッッ活ッッ!」
「この話し方は……
「ありがとうございます先生! ……とうッッ!」
軽やかな跳躍で蟹江静香に登場する。
帰還判定【1】【4】 成功! ふたりは無事に蟻塚住宅へと戻った。
【トピックス】――――――――
インベントリの格納重量はレベルに依存している。
――――――――――――――――
――蟻塚住宅
拠点へと帰還すると、宮田悟に対して現状持っている情報の開示と擦り合わせを行った。会話が終わる事には日が沈み切っていた。
「先生がオレを発見してくれたおかげで、何とか命を取り留める事が出来ました。感謝いたします」
〈状態〉 マッスルキッカー 中型 LV3
〈名前〉
HP 12/240
MP 6/92
筋力 27
頑強 37
素早さ 25+3
器用さ 26
知能 31
幸運 31
〈
〈攻撃
――――――――――――――――
【跳躍蹴り】――説明。
助走をつけ、跳躍してから蹴りを放つ。達成値は10であり、2d6とは別に12の貫通ダメージを与える。失敗すると1ターン動けなくなるリスクはあるものの、その攻撃事態は非常に強力。キックから派生した攻撃の
――――――――説明終了。
「
「詳しく言えば、筋力頑強系進化です。転生した当時、ただのバッタだったオレは、強みである脚力に目を付けました。そして、唯一の攻撃
「
「先生は見た所【
話を聞くと、彼のオペレーターは、会話こそ出来ないものの、ゲームシステムの解説や、通知などが正常に機能しており、この世界に存在するモンスターやアイテム、訓練に関する仕様を徹底的に調査、それを活用する事で戦い抜いてきたという話だ。
「拠点で休める事がこれ程までに嬉しいだなんて……。5日目に拠点を出発してから一度も拠点が見つからなかったから感慨深いなぁ……」
長い旅を経て来たというのが、その感想からひしひしと感じられる。
「悟くん。訓練や旅の事を聞かせてくれない? 今後の参考になると思うし」
「はい! オレが得た見識で良ければ喜んで!」
彼の話では、
「まずは
その効果により、宮田悟は栄養補給と筋肉の破壊、完全休養を実現し、その結果として
「そうなってしまえば後は、【早足】で速度を3倍にし、戦う事でレベルを獲得。以降、武者修行として各地を渡り歩いてきました。やむを得ない事情があって、拠点外で進化を行って命を拾ったこともあります」
「レベルと
「そのとおりです。訓練を続けて事で
【訓練短縮】――説明。
訓練に消費する時間を節約する事が可能となる。この
――――――――説明終了。
「ありがとう。参考になったわ。今日の所はこの辺でゆっくり休んで頂戴」
「感謝します先生。おやすみなさい」
そう言葉を交わすと、宮田悟は気絶するかの如く眠りについた。
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