第7話 再会。

 カニ生活8日目――――――――


能力値ステータス――――――――――

〈状態〉 SSCソフトシェルクラブ小型 LV2

〈名前〉 蟹江静香


HP  30/30

MP  14/14


筋力  11

頑強  11 

素早さ 10

器用さ  7

知能  11

幸運   9


技能スキル〉 捕食 作成 製薬 念話

〈攻撃系技能スキル〉 千切る+1

〈装備〉草と獣の鎧+1(防御力+2)

――――――――――――――――


 生徒の居場所について情報を得た蟹江静香は、現在値から東に位置する巨岩へと探索する事となった。カニの脚でも1日歩けば辿り着くという話を妖精から聞き、即座に出発を決意するのであった。


「回復薬が1個しかないのが心許ないけど、行ってみるしかないか。途中で敵に出くわしても、レベルアップが出来れば全回復できるし、そこを上手くコントロールして探索をしていこう」


『そうですね。警戒を怠らぬ様、真っ直ぐと東に向かいましょう。私には方向を知るすべとオートマッピング機能がありますので、安心して誘導に従ってください』


「頼りにしてるわ」


――熱帯雨林


【マスク判定】曇っている。カニには都合が良い。


 探索判定【2】【4】 新たな敵に遭遇した!


【マスク判定】 相手は1体の様であり、種類や大きさを特定すると


【マスク判定】 大きくて強そうな鳥がエサを探している様だ


【マスク判定】 相手はまだこちらに気付いていない。


「見つけてしまったものはしょうがない。戦おうレベルも上がるかもしれないし」


不意打ち判定 【1】【1】 ファンブル!


 とびかかり攻撃を仕掛けようと、蟹江静香は攻撃を繰り出した。しかし、この大事な瞬間に、転んでしまい、不意打ちは大失敗してしまった。これにより、最初のターンは無条件で攻撃を受けてしまう。次のターンから素早さによるイニシアティブ判定が行われる。


「なんか私、不意打ちが滅茶苦茶下手なんじゃね?」


『次からは、不意打ちせず、やあやあ我こそは! ってやつやります?』


「それもそれで、死にそうでやだ……」


 大きな鳥の先制攻撃。成功判定【マスク判定】【マスク判定】成功。


 ダメージ判定【マスク判定】【マスク判定】


 大きな鳥による、くちばしの攻撃! 少しのダメージ。


「あれ? 全然痛くない? なんで?」


『今までの敵が規格外過ぎたのでしょう。この鳥も、前に倒した巨大な鳥より一回り小さい個体です。ですが、注意して戦ってください!』


「了解!」


 イニシアティブ判定【マスク判定】【マスク判定】失敗!



 1ターン目――――――――


大きな鳥の先制攻撃! 成功判定【マスク判定】【マスク判定】成功。


「回避なし! 受ける!」


 ダメージ判定【マスク判定】


嘴での攻撃、蟹江静香にダメージは与えられなかった。


「おぉ! これは、最終防御力が上回ったって事だね!」


『つまり、打ちどころ次第では、相手の攻撃を無効化できるという訳ですね。これは良い発見となりました!』


 蟹江静香の攻撃。成功判定【5】【2】成功。


 ダメージ判定【3】【4】成功。


【部位破壊判定】【マスク判定】失敗。追加ダメージなし。


 カニの鋏が相手の肉体を締め上げる。切断こそ出来なかったが、相手にかなりの痛手を負わせることが出来た。



 2ターン目――――――――


大きな鳥の攻撃! 成功判定【マスク判定】【マスク判定】成功。


「回避なし! 受ける!」


 ダメージ判定【マスク判定】


 嘴での攻撃により、蟹江静香に少しのダメージが与えられた。


「草と獣の鎧の効果あるよ! 作って良かったぁ!」


 蟹江静香の攻撃。成功判定【2】【2】成功。


 ダメージ判定【4】【4】成功。


【部位破壊判定】【マスク判定】失敗。追加ダメージなし。


「部位破壊発動しねぇ~!」


 カニの鋏が相手の肉体を締め上げる。切断こそ出来なかったが、相手にかなりの痛手を負わせることが出来た。



 3ターン目――――――――


大きな鳥の攻撃! 成功判定【マスク判定】【マスク判定】成功。


「回避なし! 受ける!」


 ダメージ判定【マスク判定】


嘴での攻撃、蟹江静香にダメージは与えられなかった。


「この攻撃で終わってくれ~!」


 蟹江静香の攻撃。成功判定【2】【2】成功。


 ダメージ判定【4】【1】成功。


【部位破壊判定】【マスク判定】成功。追加ダメージ2。


部位破壊により、相手の足を切断する事に成功した。判定により、防御が下がるところだが、それを待たずして、大きな鳥はカニの握力によって死亡した。



――――――――戦闘終了。


報酬―――――――― 

 経験値+200

 鳥の羽

――――――――入手。


 戦闘終了と同時にファンファーレが鳴り響く。



「よっしゃあああああ! レベルアップ! ちょっと大きくなった!」


『今回は相手に恵まれましたね』



能力値ステータス――――――――――

〈状態〉 SSCソフトシェルクラブ中型 LV3

〈名前〉 蟹江静香


HP  36/36

MP  22/22


筋力  13

頑強  13 

素早さ 13

器用さ  9

知能  13

幸運  12


技能スキル〉 捕食 作成 製薬 念話

〈攻撃系技能スキル〉 千切る+1

〈装備〉草と獣の鎧+1(防御力+2)

――――――――――――――――


「確率が集約しているのを感じる……」


能力値ステータスの上り幅は固定のはずなのに、ここまで綺麗に並ぶのも面白いですよね』


「続けて、もぐもぐタイム!」


技能スキル捕食の効果により、鳥の肉を摂取。蟹江静香の――』


【4】【3】【3】


『――素早さが2増加しました』


「それでは改めて能力値ステータスの確認だ!」



能力値ステータス――――――――――

〈状態〉 SSCソフトシェルクラブ中型 LV3

〈名前〉 蟹江静香


HP  36/36

MP  22/22


筋力  13

頑強  13

素早さ 15

器用さ  9

知能  13

幸運  12


技能スキル〉 捕食 作成 製薬 念話

〈攻撃系技能スキル〉 千切る+1

〈装備〉草と獣の鎧+1(防御力+2)

――――――――――――――――


「初期と比べて逞しくなってきたな……」


『通知です。素早さの数値が一定数を越えた為、特化した存在に進化が可能となりました。進化候補は、【ハイスピードクラブ】です』


【HSC《ハイスピードクラブ》】――説明。


 蟹種族における、素早さ特化型の進化形態。筋力と装甲が1低下する代わりに、素早さが2増加する。成長曲線も素早さに特化して変更される。素早さが高いと先制攻撃の成功率が上昇し、相手を一方的に攻撃する事が可能となる。相手の数値と2倍の差がついている場合、攻撃回数が増加する確率も増える。


――――――――説明終了。


『――以上が詳細となります』


「今しがた装甲の恩恵を受けたばかりで、減らそうとする訳ないでしょ。進化はもちろん保留」


『この流れですと、他の能力値ステータスも一定値を達成すれば、進化先が出現する可能性が在ります。ここは見送るのが無難でしょうね』


「この戦闘バランスなら、防御型か、オールラウンダーの方が、遥かに生き残りやすいと思う。素早さが減るとかならダメだけど」


『成長曲線まで変更されるとなると、進化は慎重に行わなければなりませんね』



 2度目の探索判定【2】【1】 新たな敵に遭遇した!


【マスク判定】 相手は2体の様であり、敵対しているようだ。


【マスク判定】 1体目は明らかに異質の存在である。それは今までに見たモンスターの中で遥かに大きな個体である。勝てる見込みはないかもしれない。


【マスク判定】 2体目は小さな虫だが、その強さは侮れない。かなりの修羅場を潜り抜けて来た虫である。


【マスク判定】 相手は敵対しているので、気付いていない。


「当たり前の様に傍観! それにしてもあのモンスター強そうが過ぎる」


『明らかに存在が異質です。勝てる見込みがまるでありません。熊の様な、狼の様な、虎の様にも見えますが、とにかくモンスターとしか言えません』


「アレもしかして……。大きなイタチかもしれない……」


 対峙する2体の戦いが始まった。(内部処理により、判定は割愛)




 1ターン目――――――――


イニシアティブ判定により、巨大モンスターの先行攻撃。爪での攻撃が、虫に襲い掛かる。虫は爪の攻撃を受けるが、勇敢に反撃に出る。


 虫の体当たりが、巨大モンスターの身体にねじ込まれる。


「この世界の虫、相変わらず強い……! 数倍もある敵に立ち向かっていく……!」


 2ターン目――――――――


 鋭い爪の攻撃が、虫の身体を切り裂く。先程よりも傷が深く、体液が零れ落ちるも、虫の反撃は衰えない。しかし、当たりどころがわるく、ダメージにならない。運命は時に厳しい。


 3ターン目――――――――


 巨大なモンスターの爪が、更に深く突き刺さる。虫から渾身の反撃が繰り出される。攻撃は炸裂したが、元々のフィジカルに大きな差がある為、それ程状況は好転していない。


 4ターン目――――――――


 巨大モンスターの攻撃により、虫は吹き飛んだが、まだ起き上がる。最後の力を振り搾るかのように、反撃を繰り出す。最後の攻撃は命中はしたものの、虫に最早戦う気力は残されていない。


【マスク判定】 なんと、巨大モンスターは虫を持ち上げ、木の側に放置した。驚くべきことに、トドメを刺さなかったのである。その理由は分からないが――


  ――。一定の知能に達していた蟹江静香には、一筋の可能性を見出した。


「このモンスター、私の生徒なんじゃね……⁉」


『確かに、この世界の在来種にしては、頭が良過ぎる気がしていました。何故か虫に対して慈悲の心も持ち合わせています。可能性としてはありでしょう』


「念話で話しかけてみよう。その為の念話よ。いきなりカニが現れても、攻撃されそうだし」


『相手が念話を習得していない場合、脳に負荷をかける行為になるので、ご注意を』


『もしもし、私は蟹江先生です。そこのモンスターさん。話を聞いてください』


【マスク判定】 失敗。蟹江静香が念話を送ると、巨大モンスターは頭を抱えて苦しみだし、森の奥へと逃げて行った。脳に強い負荷が掛かったのだ。



――――――――戦闘終了。


報酬―――――――― 

 経験値+150

 モンスターの剛毛

――――――――入手。



「し、締まらねぇ~! しかも乱入で撃退したことになってる!」


『蟹江先生、こういうの苦手過ぎませんか?』


「う、うるさいなぁ! 好きで外してるんじゃないよ!」


 蟹江静香が念話を使った影響で、先程の虫が起き上がり、威嚇を始めた。しかし、出血がひどく、数歩、歩みを進めたのち、その場に倒れた。


「折角あの子が生かした命なのに……助けるかぁ……!」


『流石先生。教職者の鑑ですね』


 蟹江静香は、【粗末な回復薬】を虫に対して使用した。これにより、一命はとりとめることが出来た。更には蜜蝋を使い、傷も塞いだ。虫は、訳が分からないといった様子であり、警戒を解いていない。即座に木の上に避難してしまった。


「あれだけ動ければ大丈夫だろう。傷口を塞いだし」


『そうですね。やるだけの事はやったと思います』


「というかさ、オペレーター同士で話してくれれば、良かったんじゃね?」


『言ったじゃないですか、私から画期的なアイディアは出てこないって』


「そうだけどさ~! うわー! みすみす生徒らしき存在を逃した~!」





 3度目の探索判定【4】【2】 新たな敵に遭遇した!


【マスク判定】 相手は2体の様であり、敵対しているようだ。


【マスク判定】 1体目はモンスター。2体目は小さな鳥で対立していた。


「もう見飽きたんだけど、飛ばしていい?」


『それは運命の神が一番思っている所ですので、我慢して見届けましょう』


「短縮戦闘してくれ~!」




 5ターンにも及ぶ死闘の末、大きなモンスターが勝利した。




「今度こそ、不意打ち食らわすぞ!」


不意打ち判定【マスク判定】不意打ちが失敗した!


「は? 不意打ち失敗の呪いか?」


『もうこれなら、やあやあした方がマシですね』


 1ターン目――――――――


イニシアティブ判定【マスク判定】【マスク判定】成功。


『久しぶりの先行ですね』


「やかましいわ」


達成判定【マスク判定】【マスク判定】成功。


敵の回避なし!【ダメージ判定】【3】【3】

【部位破壊判定】【マスク判定】成功。追加ダメージ【2】相手の筋力が2低下。


 万力の様な鋏攻撃が、大きなモンスターを締め付けた。部位破壊の効果もあって、相手の命を刈り取る事に成功した。


――――――――戦闘終了。


報酬―――――――― 

 経験値+300

 モンスターの体毛

――――――――入手。


「不意打ちは失敗したけど、漁夫の利美味しいな」


『普通に戦うより、遥かに楽に勝てますね』


「じゃあ、もぐもぐタイムといきましょうか」




技能スキル捕食の効果により、モンスターの肉を摂取。蟹江静香の――』


【5】【3】


『――頑強+技能スキルを取得しました』


「モンスターの肉は技能スキルをくれるのか……」


『解析完了。説明します』


【モンスターの肉】――説明。


 能力値ステータスに与える技能スキルを取得する。効果は6種のランダムであり、技能スキルレベルが上がると性能が上がる。能力値ステータスには(+2)の様に表記される。進化には影響がない為、トータルの数値に達していても、条件を満たす事は出来ない。


――――――――説明終了。


『頑強+は名前のとおり、頑強に補正が掛かるスキルの様ですね。能力値ステータスを確認しておきましょう』


「いや、鳥を食べた後にしよう」



技能スキル捕食の効果により、鳥の肉を摂取。蟹江静香の――』


【3】【1】【6】


『――この肉は適合しませんでした』


「あぁあああああああ!」


『やはり自分で倒さないとダメなんですかね?』


能力値ステータス確認しておこう」




能力値ステータス――――――――――

〈状態〉 SSCソフトシェルクラブ中型 LV3

〈名前〉 蟹江静香


HP  36/36

MP  22/22


筋力  13

頑強  13+2

素早さ 15

器用さ  9

知能  13

幸運  12


技能スキル〉 捕食 作成 製薬 念話

〈攻撃系技能スキル〉 千切る+1

〈基本系技能スキル〉 頑強+LV1

〈装備〉草と獣の鎧+1(防御力+2)

――――――――――――――――


 1日を費やし、歩き続けたことで、目的である東の巨岩へと辿り着いた。妖精はヘビに対して、念話を教えているという情報から、念話によって呼びかけを試みる。


『もしもし、蟹江先生です。どなたかいらっしゃいませんか?』


 すると巨岩の奥からにゅるりと白い蛇が顔を出した。


『えっ、蟹江ちゃん先生……⁉ マジのカニじゃん! ウケる!』


『その口調は……。金森さんですね。金森式奈かなもりしきなさん!』


『流石は蟹江ちゃん先生! 立ち話も何だし、とりま、入ってよ!』


『お邪魔しまーす』


  白蛇に案内され、カニが巨岩に出来た隙間に入り込む。それはかなり続いており、その道を抜けると、大木の洞と同じ様な広い空間が広がっていた。


『やっと生徒を見つけられて良かったよー!』


『蟹江ちゃん先生も相当苦労したみたいだね~! まぁ、私も2回は死んだけど、夜も遅いし、今日はここで休みなよ! 明日詳しく話をして!』


『そうね。ここまで来るのに戦ったし、眠らせてもらうわ』


『おやすみー!』


 こうして蟹江静香は生徒と再会を果たしたのであった。 


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