第5話 閲覧の神々。
カニ生活4日目――――――――
閲覧の神々による恩恵で、蟹江静香に
【判定分】の
【マスク判定】 筋力+2
〈状態〉
〈名前〉 蟹江静香
HP 24/24
MP 7/7
筋力 9
頑強 3
素早さ 6
器用さ 4
知能 8
幸運 5
〈
――――――――――――――――
「つまり私は、何らかの形で30人の生徒の魂を回収して、宝玉を起動させれば、現世に帰ることが出来るという事ね?」
『そうなりますね。てっきり、召喚される際に気付いていたものだと思っていました。給食中の教室内で、あの騒ぎが起きた訳ですから……』
「生徒は全員【絆の楔】によって、魂を縛られているから、死んでも魂が消失したりする事はないのね?」
『そうなりますね。彼らも同じ様に死に戻る事で、安全地帯を手に入れている筈ですので、生き残っている事と思われます』
「こんな精度の低いクソゲーで、生き残れる生徒たちが居るとは、とても思えないけど、現代の子供たちの方が、この手のゲーム慣れてたりするんだろうか……」
『どうでしょうね。一応ですが、全員にオペレーターが付いているので、早々死ぬことは無いとは思いますけど、一昔前のバランス無視した作品よりは、この世界はマシだと思えるので、かなり気合が入っている生徒さんなら、もう無双しているかもしれませんよ?』
「私が生徒と遭遇した場合、判別可能なの?」
『問題ありません。オペレーター同士で気付く筈です。一定の距離と時間があれば』
「じゃあもう、遭遇した時に考えればいいか。今は自分がどう生き残るか考えないと始まらないし……」
蟹江静香は、手持ちのアイテムを利用して、装備が作れないかと模索していた。現在手元にあるのは【鳥の羽】と【獣のたてがみ】である。両方の鋏が戻った事で、ある程度の作業も可能となり、【作成】が可能となっていた。
『何度か作成を行えば、
「じゃあ、その辺にあるもので何か作って、
その辺に生えている草などを使って、道具を作成してみる。
【トピックス】――――――――
魔人の呪いにより呼び寄せられ、魂の形を書き換えられた者達は、この世界において死ぬことは許されない。【絆の楔】によって、世界との結びつきを強くし、【死に戻り】によって蘇生する。その際、一番近くにある拠点にて再スタートする事が可能であるが、別の拠点を発見し、一晩を明かすと、再スタートの位置が変更される。
――――――――――――――――
作成判定【4】【6】 それなりの出来である。
草を編み込んで、縄を作ってみた。それ程の強度は望めないが、身体に引っかけたりすることが出来る。意外にも上手に作成が出来た所為か、
【作成】――説明。
――――――――説明終了。
『縄を作成したことで、正式に
「縄を複数連結させていって、防具を作ってみるのも良さそう」
『そうですね。私の予想ですと、草の鎧が作れそうです』
「やってみよう」
蟹江静香は、その日1日を費やして、草の縄を作成し、そこから鎧を作る事に決めた。一度作ったものに関しては、作業速度が上昇する仕様らしく、予想よりも短い時間で、草の鎧は完成した。
作成判定【4】【4】 上出来である。
【草と獣の鎧】――説明。
草と獣のたてがみを交互に編み込んで、耐久力を強化した、カニ専用の小型鎧。最終防御力が+1されるが、以前の葉っぱ装備とは異なり、1回の攻撃で壊れたりはしない。当然の様に火に弱く、獣の油効果で、雨や水に抵抗がある。
――――――――説明終了。
「鳥の羽も活用したかったけど、色が滅茶苦茶目立つから、隠密出来なくなるし、迷彩効果薄れるから、他の所に使いたかったんだけど、全く装備に転用できるアイディアが浮かんでこない……」
『こういう時、【閲覧の神々】なら、どういうアイディアを出すのでしょうかね』
「その【閲覧の神々】ってどんな神様ですか?」
『我々とは異なる摂理に生きる神達です。どこかで我々の活動を見守ってくれている存在です。コメントなんかくれると、大変ありがたいです』
「その神々は何を理由に、私の地獄体験を見てるんですかね」
『娯楽……? 愉悦……? 睡眠導入……?』
「終わってるヤツの発想ですよ! 女性教師が訳も分からずカニにされて、モンスターたちに虐殺され、死に戻りするファンタジーな作品なんて、誰が見るんですか⁉」
『う~ん、要素だけ聞くと、かなり偏った趣向ですよね。考え方によっては、現状、誰にも見られてない可能性があります』
「それはそれで悲しいな。この地獄はひとりで乗り切るのには厳しすぎる。難易度が余りにも高過ぎるんよ」
『現状、ひとりの神が、我々の活躍を閲覧してくれていて、お気に入り登録してくれていますね』
「私の現状を見ている神々の皆様、早くこの地獄に終焉を迎えたいので、早々に恩恵をお願いいたします!」
『まぁ、運命の神は、遊び感覚でサイコロを振っているので、楽しみながら苦しんでいますね。大きな目標として、宝玉による英霊の召喚があるんですけど、最悪、蟹江静香さんが、最強生物としてこの世界に君臨し、魔人を倒しても目標はクリアされるので、一応憶えておいてください』
「ラスボスを自分の手で⁉ 相手はどれぐらい強いんですか⁉」
『10000倍くらいですかね』
「事実上不可能じゃん!」
――――――――その日は装備の作成で1日が終わった。
カニ生活5日目――――――――
〈状態〉
〈名前〉 蟹江静香
HP 24/24
MP 7/7
筋力 9
頑強 3
素早さ 6
器用さ 4
知能 8
幸運 5
〈
〈装備〉草と獣の鎧(防御力+1)
――――――――――――――――
装備も出来上がった事で、探索に出掛けるかと思いきや、蟹江静香は新しい攻撃手段の模索をしていた。現状、噛みつき以外の攻撃手段がなく、いざという時に対応出来なくなるというのを防ぎたい思いがあった。
「やはり、蟹の攻撃と言えば、鋏攻撃……。しかし、切れ味や握力、どの系統として
鋏が使用可能となれば、噛みつきよりも攻撃の距離が伸びる為、戦闘を有利に進めることも望める。新しい攻撃手段は、彼女の希望となる存在なのだ。
「ダブルグラップル……? からの噛みつき……。だとコンボ技になってしまう。鋏単体で成立させなければ……。そういえば以前、救済ガチャのラインナップに、
数少ないゲーム経験をフル動員し、ゲームというルールの中で、己に有意な可能性を見出していく。
『最初に出した訓練用の人形で、技の練習をしてみるのはどうですかね? 身体を動かした方が、実感も湧いてくると思いますし』
「そうだね。やってみる」
攻撃
鋏で拘束した相手の部位を切断する
【部位破壊】追加効果――説明。
対象の四肢や尻尾、顔、頭などに負傷を与え、攻撃や防御を封じる。1度で破壊する事はなかなか出来ないが、重ねて使う事で、対象の防御力を低下させたり、破壊の確率が上昇する。
――――――――説明終了。
「これは優秀な攻撃方法だねぇ……。問題は外の敵に通用するかどうかだけど、試してみるしか方法はないよ……」
蟹江静香は憶えた
【トピックス】――――――――
【訓練判定】とは、新しい
――――――――――――――――
――熱帯雨林雨林
【マスク判定】 曇っている。日当たりが悪く、視界も狭い。
探索判定【5】【3】
昨日の雨でぬかるんでいる地面を進むと、死体を発見した。
【マスク判定】【マスク判定】 モンスターの死体を発見した。
そのモンスターは蛇の様な見た目をしているが、本来存在しないはずの腕が生えていて、純粋な爬虫類出ない事が一目で判断できた。
『
【5】【5】【6】
『――頑強が3増加しました』
探索判定【5】【2】 新たな敵に遭遇した!
【マスク判定】【マスク判定】【マスク判定】
目の前に大きな虫が出現した! 頭には固そうな角を生やしている。
『戦いますか?』
「はい」
イニシアティブ判定【マスク判定】【マスク判定】失敗。
『相手の方が素早いです!』
「先行取られちゃったかー」
1ターン目――――――――
敵の攻撃。達成判定【マスク判定】【マスク判定】成功。
「HPで受ける!」
敵のダメージ判定【マスク判定】 成功。
巨大な虫の体当たりが繰り出されてた。衝撃によって大きく後ろに吹き飛ばされ、木に激突する。蟹江静香は大ダメージを負った。
「草と獣の鎧を装備してこの威力……! 虫とは本当に相性が悪い!」
達成判定【マスク判定】【マスク判定】成功。
敵の回避なし!【ダメージ判定】【2】【5】
【部位破壊判定】【マスク判定】成功。追加ダメージ【2】相手の筋力が2低下。
蟹江静香の鋏が、虫の角をへし折った!
ダメージの交換を行い、互いに満身創痍となっている。
2ターン目――――――――
敵の攻撃。達成判定【マスク判定】【マスク判定】成功。
「HPで受ける!」
敵のダメージ判定【マスク判定】 成功。
部位破壊により、相手の筋力が低下しているおかげで、ダメージは最小限に防げた。それでも、あと一撃でも喰らえば、死体が完成してしまう。
達成判定【マスク判定】【マスク判定】成功。
敵の回避なし!【ダメージ判定】【4】【5】
蟹江静香の千切るが炸裂! 巨大な虫を討伐した!
――――――――戦闘終了。
報酬――――――――
経験値+200
芋虫の粘液
――――――――入手。
戦闘終了と同時にファンファーレが鳴り響く。
『おめでとうございます! レベル上昇しました!』
「よぉぉおぉっし‼」
『自動判定により
〈状態〉
〈名前〉 蟹江静香
HP 30/30
MP 14/14
筋力 11
頑強 7
素早さ 9
器用さ 7
知能 9
幸運 7
〈
〈攻撃系
〈装備〉草と獣の鎧(防御力+1)
――――――――――――――――
『
【4】【2】【2】
『――素早さが1増加しました』
「上り幅が最低値!」
『贅沢は言えませんよ。探索回数が限界なので帰りましょう。夜は危険です』
「はーい」
帰還判定【マスク判定】――成功。
【トピックス】――――――――
戦闘における【回避】とは、相手の繰り出した攻撃を避ける行為であるが、専用の
――――――――――――――――
大木の洞――
「正直、【千切る】が無かったら終わってた」
『本当に危なかったですね。HP6まで持ってかれていました。今回勝てたのは、部位破壊が成功したからでしょう』
「今の所、敵の全てがガチンコで戦ってくれる相手だから、なんとか成立したけど、これからは状況がもっと悪くなると思う。新しい
『オペレーションシステムからは、基本的に画期的なアイディアは出たりしないので、期待なさらないで下さいね』
「もともと期待してない」
『傷つきますねぇ。本日の戦利品を確認しておきましょう』
「【芋虫の粘液】だね。そういえば、戦利品ってどうやって回収してるの?」
『インベントリという収納空間システムが確立されています。まぁ、この世界自体がゲームみたいなものなので、一部システムを追加して運用しています』
【芋虫の粘液】――説明。
芋虫の粘液、口から吐き出された粘液であり、基本構成物質はタンパク質となっている。蜘蛛の糸の様に粘着質で熱に強い。作成や装備の修復をする際に、接着剤として使用する事も出来る。その際、最終防御力が+1上昇する。
――――――――説明終了。
「今日はもう遅いから、修復なりなんなりは明日にしよう」
『お疲れ様でした。良い夢を』
〈状態〉
〈名前〉 蟹江静香
HP 30/30
MP 14/14
筋力 11
頑強 7
素早さ 10
器用さ 7
知能 9
幸運 7
〈
〈攻撃系
〈装備〉草と獣の鎧(防御力+1)
――――――――――――――――
【ルール】――――――――
戦いにおいては、この世界の法則に従ってもらう。
――――――――――――――――
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