第2話 相棒は体育会系だった
俺の住むアパートから車で15分ほど、【神野支部】が今日の待ち合わせ場所だ。
現地集合のことも度々あるのだか、今日は新人がいるということで一度神野支部で落ち合うことになっていたのだが、、
「さすがに早く着きすぎたなぁ」
現在の時刻は朝の六時半。
待ち合わせの時間より2時間は早く着いてしまった。
新入りも、いくら初日だからといってまだ到着していないだろう。
さて、どうやって時間を潰してやろうか。
そんなことをボケーっと考えながらいつもより時間は早いが、今では日課となったトレーニングをしにトレーニング室に向かう。
しんと静まり返った、照明のついていない殺風景な廊下に、コツコツと俺の足音が響く。
コツ、コツ、コツ、ふんっ、コツ、コツ、コツ、ふんっ、
「!?」
明らかに俺の足音とは別の音が混じっていた。が、
「………気のせい…か?」
まだ寝ぼけいるのだと思い、顔を両手でパシッと叩き再び歩き出そうとして、、
ふんふんふんふんふんふんふんふん
うん。
気のせいじゃない。
明らかにリズミカルにふんふんいってる。
一体こんな時間になにをしてるのか。と、廊下の奥の方を見ると電気のついている部屋があった。
その部屋まで足を進め、ドアを開けると、、
身長は俺と同じか俺より少し低いだろうか。
背こそ高くはないが、うすい橙色の髪をした、まさに筋骨隆々といった分厚い体躯の若い男が、タンクトップ姿で尋常じゃない速さでスクワットをしていた。
しかも百キロはあるだろうバーベルを担ぎ上げながら。
あ、これ、関わっちゃだめなやつだ。
そう思い気配を消して、その場を立ち去ろうとしたが…
ふんふんふんふん、ふんっ?
時すでに遅し。
バッチリ目が合った。
そしてバーベルを担ぎ、膝を落としたまま言った。
「おはざっす!!……あれっ、もしかして天路遥斗さんっすか!?」
「!?……、あぁ…そうだけど…」
まさか自分の名前が出るとは思っていなかったので、すぐに言葉が出ず戸惑いながら返事をするとその男の表情はパァッと明るくなり
「もうきてたんすね!今日からよろしくお願いします!!」
ん?今日からよろしく?
てことはつまりこいつが…
「あ、自分、堂山堅吾って言います!今日から天路さんのお世話になります!」
そう、このザ・体育会系の男こそ、これから遥斗の任務に同行、つまり相棒となる男。堂山堅吾だ。
「……まずはそのバーベルを下ろそうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます