第3話 探索者ギルド

 船に戻ると、タブレット、小型携帯端末など、必要なものを持って外に出た。そして、すぐに事務室に向かうと、事務室の前にアイリスさんがいたので、

「アイリスさ~ん!準備できたので来ました!」

と言うと、

「ああ、早いな。じゃぁ、行こうか。」

と言い、案内してくれた。そして、

「後どれくらいです?」

と訊いたのに対し、

「もうすぐ着くよ。」

と言われた途端、

「きゃぁ~ 助けて~」

と言う声がすぐ近くから聞こえたので、はっとなって、戦闘態勢に一瞬で切り替えると、全身の筋肉を完全に弛緩させ、一気に緊張させて、一瞬でその場所まですべての人の視線を引きちぎってその方向に向かった。その後、アイリスさんが、

「そういうところも似ているんだね。エンピステーヴェと。」

と言っているのは聞こえていなかった。その女性のところに駆けつけると、すぐに、

「待て!!」

と大声で叫ぶと、

「誰だ?おまえ?邪魔すんじゃねぇよ!」

「やはり、か。キリアキア!!」

「はぁ?何で知ってんだ?まさか、おまえ、その長い銀髪、その碧眼、S級危険指定、アイロース、か?」

「その通りだ。」

「まさか、生きていたとはな。だったらおまえから殺してやる!!そうそう簡単にやられると思うなよ?おまえとは格が違うってことを教えてやるよ。」

と言うやいなや、レーザーライフルをクイックドローし、一瞬で眉間目がけて撃った。そして、相手が横に飛んだところを、3発、横並びで円弧状に撃つと、相手もこちらに向けて撃ってきたので、予め予測していた場所から飛び退くと、相手は眉間を撃ち抜かれて即死してくれた。そして、相手から撃たれたレーザーは、僕の2~3m右、予測通りの位置を撃ち抜いていた。そして、襲われていた女性へ近づくと、

「大丈夫でした?」

と訊くと、

「え、ええ。あなた強いんですね。はぁ、それにしても、これからどうしよう?」

「と言うと?」

「いえ、実は夫が身を挺して守ってくれたから今私は生きているんですけど、家の中はぐっちゃぐちゃで、夫は死んでしまうし、でどうしようもなくなってしまったんです。」

「あ、そうだ!案内してくれたアイリスさん置いて来ちゃった。とりあえず、探索者ギルドの方に向かいますか。」

「え、あなた探索者なの?えらく強かったけど・・・」

「いえ、まだですよ?今から登録しようと家を出てきたんです。」

「そうなの。受かるといいわね。」

「じゃぁ、とりあえず行きましょう!」

と言って、アイリスさんの元へと戻っていった。

 アイリスさんのところへ戻ると、アイリスさんが、

「似てるわね。あなた。エンヴィステーヴェと。それで、彼女はどうしたの?」

「ああ、彼女、夫をキリアキアに殺されて、家もぐっちゃぐちゃにされてしまったみたいで。相談に乗ってあげてもらえませんか?」

「分かったわ。ジャぁ、後100m程向こうに行ったら探索者ギルドだし。自分でいけるわよね。」

と、案内された道の反対側を指していったので、

「ええ、もちろんです。」

と答えると、

「一応、探索者ギルドに連絡、入れておくわね。行ってらっしゃい。」

と言って、通話を始めたので、すたすたと歩いていった。探索者ギルドと思しき場所には一人の女性が立っていて、僕が来たのを見て、

「アイロースさん、ですよね?中へお入り下さい。」

と、扉を開けて中へ通してくれた。

 扉をくぐると、巨大なホールがあり、正面には、『案内センター』と書いた、看板がかかっているガラス(おそらく防弾、耐刃、アンチレーザー仕様)張りの人が入っている場所があった。そして、その奥には、無数のカウンターがあった。そして、

「こちらへ付いてきて下さい。」

という、職員さん?に連れられて、一番奥のカウンターに行った。そして、

「はじめまして。アイロース様。私はリーン・ホワイト。ここのギルドマスターをしています。実は、あなたの判断力、操縦技術、機体の性能は全宇宙に住む人類が知るところとなってしまっていまして。その理由は、予知夢的に全世界の人類があなたを英雄と認識させる夢を見させられたので。」

といわれて、

「そうすると、僕はどうなるんですかね?」

「とりあえず、一旦それが本当かの検査だけさせて。それから決めるわ。とりあえずこっちに着て。」

といわれたので、ついていった。

 とりあえずギルドマスターについて行くと、コックピットをかたどった筐体があり、これで検査するんだな、と一瞬でわかった。そして、ギルドマスターのリーンさんが、

「タブレット貸してくれる?完全な機体情報を入力しておきたいし。」

と言われ、

「あぁ、わかりました。はいこれどうぞ。」

と、タブレットを渡した。そして、しばらくして、

「入力完了。テストしましょうか。このとき用に作ったテストがあるし。」

と言われ、

「わかりました。やりましょう。」

と言って、テストが始まった。まず、この世界の常識として、小型艦の主砲などで、大型艦や戦艦のシールドは飽和させることはできない、と言うのだが、それは正しくその通りだった。僕の艦を除いては。僕の艦は、相手のシールドの脆弱な部分をスキャンできるので、と言っても、大抵は主砲を使った時にできることがほとんどで、相手の主砲をよけられる技量が必須であるが、その部分を全砲門で狙い撃ちにするしかないので、大変ではあるのだが。それを使い、大型艦、戦艦の艦隊を約15分で沈めた。そして、

「テスト終了ね。想像以上にすごかったわね。じゃぁ、合格。特別ランク、Zランクで起用しとくわね。じゃぁ、これで。」

「わかりました。では。」

と話し、二人で歩き始めた。そして、カウンターに戻ると、予め作ってあったと思われるZランクのギルドカードを渡された。そして、一旦艦(ふね)に帰ったのだった。

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