第31話 最終話: 「二人の選択」
プロジェクトの成功と引き換えに、二人が直面した新たな試練。それは、プロジェクトの規模が大きくなりすぎ、自分たちの手から離れていくという現実だった。美咲と修平は、これまで全力で突き進んできたが、ここで改めて立ち止まり、二人の未来について考える時間が必要だと感じていた。
「美咲、僕たち、このまま続けていくことが本当にいいのかな?」
放課後、カフェ「フォレスト」で修平がそう問いかけた。彼の言葉には、これまで感じていた迷いや不安がにじんでいた。プロジェクトが大きくなるにつれて、二人の時間が奪われ、自分たちが目指していた理想が少しずつ見えなくなっていたのだ。
美咲はその言葉に静かに頷いた。彼女も同じ気持ちだった。
「修平くん、私もずっと考えてた。これ以上、無理をしてプロジェクトを続けるよりも、もっと二人の時間を大切にしたいって思うの」
その言葉に、修平の顔に少しだけ安堵の表情が浮かんだ。彼も同じ思いを抱いていたが、どう伝えればいいのか迷っていたのだ。
「プロジェクトは私たちにとって大切なものだけど、私たちの時間や気持ちを犠牲にしてまで続ける必要はないと思うの。これまで頑張ってきた分だけ、少し肩の力を抜いてもいいよね?」
美咲の言葉には、彼女の中に芽生えた自信と決意が感じられた。プロジェクトの成功が彼らの夢だったが、それ以上に大切なのは、二人が一緒に歩んでいく未来だということに気づいていた。
修平もその意見に深く頷いた。
「僕も同じことを思ってたよ。プロジェクトを縮小して、二人の時間を大切にすることが、今の僕たちには一番必要なことだと思う」
二人は、これまでの自分たちの頑張りに誇りを持ちながらも、これからは少し余裕を持って進んでいくことを選んだ。
プロジェクトを縮小する決断は、簡単ではなかった。これまで協力してくれた多くの人々や、参加してくれた子どもたちへの責任もあった。しかし、二人は協力者たちに率直に気持ちを伝え、プロジェクトの一部を他のメンバーに引き継ぐことにした。
「これまでたくさんの支えをいただきましたが、私たちはここで一度プロジェクトを縮小し、今後は他の方々に引き継いでいただきたいと思っています」
美咲が会議の席でそう話すと、協力者たちは理解を示し、二人の決断を尊重してくれた。
「これまで本当に頑張ってきたね。これからは、自分たちの時間も大切にしてね」
協力者の一人がそう言って微笑んでくれた時、美咲は胸がいっぱいになった。これまで自分たちが全力でやってきたことが報われた瞬間でもあった。
プロジェクトの運営から少しずつ手を引いた二人は、久しぶりに心からリラックスした時間を過ごすことができた。休日には公園でピクニックを楽しんだり、映画を見たりと、これまでできなかったことを少しずつ取り戻していった。
「やっぱり、こういう時間が大切だよね」
美咲がそう呟くと、修平も満足そうに頷いた。
「うん。これまで忙しすぎて、忘れかけてたけど、こうしてゆっくり過ごす時間って本当に大事だよね」
二人は、これからも一緒に過ごす未来をゆっくりと描きながら、少しずつ歩み始めた。
---
数ヶ月が経ち、美咲と修平は新たな生活に慣れ始めていた。プロジェクトは縮小されたが、協力者たちによって引き継がれ、細々とではあるが続いていた。二人はその進行を見守りながら、今は自分たちの時間を大切にしていた。
ある日の午後、二人は再びカフェ「フォレスト」に足を運んでいた。懐かしい場所で、これまでの出来事を振り返りながら、二人の未来について話し合っていた。
「これから、私たちはどんな道を歩んでいこうか?」
美咲がそう問いかけると、修平は少し考えてから静かに答えた。
「まずは、今の時間を大切にして、少しずつ自分たちのペースで進んでいこうよ。無理をせずに、お互いを支え合いながら」
美咲はその言葉に微笑んだ。
「そうだね。私たち、これまで本当に頑張ってきたから、これからは少しずつ進んでいこう」
二人は、これからも一緒に歩んでいく未来を心に描きながら、カフェを後にした。
こうして、美咲と修平は、自分たちの時間を大切にしながら、新たな一歩を踏み出した。彼らの道はこれからも続いていく。どんな未来が待っているかはわからないが、二人が一緒にいる限り、どんな試練も乗り越えられるだろう。
「二人は自分たちの時間を大切にしながら、新たな未来に向けて進み始めた。これからも、共に歩む未来を描いて…」
物語はここで一旦終わりますが、二人の物語はまだまだ続いていくことでしょう。
【完】
【完結】読者と共に作るラブコメ〜放課後の哲学カフェ 〜君と見つける答えのない恋〜 湊 マチ @minatomachi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます