第9章 休息
不思議なものだ、プレイヤーとしての記憶や視点を持っていても生まれた時から王女として振舞っているから王女が私の人生だって錯覚してしまう。
そしてエリオットもゲームのキャラクターになり切ってくれている。
エリオットのプレイヤーが阿久津さんかも知れないと感じたきっかけは、ループの相談をしたときに私の話題が出たからだ、私は、高校1年生の時に小説家としてデビューした、三枝美幸だ、そして高校2年生の時に参加した夏のイベントで隣に住んでいる当時大学4年生だった阿久津さんに自分の素性がばれてしまった。そして2人で夢の様な体験もした。
その時に阿久津さんは、異世界への転生を実現したいと言っていた。エリオットのプレイヤーの阿久津さんの方は私が、星野真紀だとは気が付いていないみたい。
なんか、阿久津さんと異世界で幼馴染になって許嫁になるなんて嘘見たいでも嬉しい。
エリオットの性格も阿久津さん見たいに優しいし、こうして王女のキャラクターでいるのも悪くない。
「お様様、お綺麗です。」
扉を開けて、待っていたエリオットに話しかけた。
「エリオット、お待たせ、どうかな?」
「アリシアとても可愛いです。」
「ありがとう、さ、行きましょ」
2人は用意してあった馬車に乗り込み、城下に向かった。
馬車がカフェや商店が立ち並ぶ通りに着くと馬車がとまり、扉があいた。
「目的地に着きました、王女殿下」
「ありがとう、3時ごろこの場所に迎えに来てください」
「かしこまりました。」
「エリオットとデートなんて楽しみだわ、私、ケーキの美味しいカフェに行ってみたい」
「かしこまりました、お姫様、それではご案内いたします。」と手を出された。
私は恥ずかしがりながら手をとった。
しばらく通りを歩いて行くと、お洒落なつくりのカフェに着いた。
「こちらのお店にしましょう、このイチゴケーキは評判の様です。我が家の侍女たちが教えてくれました。」
「まあ、それは楽しみ!」
2人は扉を開けて、店に入った、中はお洒落なつくりになっていて落ち着いた雰囲気でとてもよさそうだった。
「いらっしゃいませ、こちらのお席へどうぞ」
奥まっている場所に個室の様に仕切られているスペースがあり窓の外も眺めることができる席に案内された。
「この席、個室っぽくってよいわ、すてき」
「アリシアに気に入ってもらって良かったよ」
「イチゴのケーキを2つとおススメの紅茶を2つお願い」
「かしこまりました。」
「エリオットは良く来るの?」
「ここは侍女に薦められてきたので、アリシアとくる今日が初めて」
「そうなのね、今日はデートに誘ってもらってありがとう」
「たまにはこういう場所でお話しするのも良いかなって」
「その、わたしの事はあまりしゃべれないけど、エリオットのプレイヤーさんって男の人ですか女の人ですか?」
「えっ 今更、僕は男です。一応前にも話したけどこのゲームの関係者なので僕も多くは語れないのですが」
エリオットはテーブルにメモ用紙を出して何かを書き始めた。
『そういうことで、自分が好きな作家さんと自分の夢をかなえる為にこのゲームを開発したけど、まさか、現実に戻れなくなるなんて、思ってもみなかった、みんながゲームから現実に戻れるようにあなたにも協力してほしいんだ、あなたは時の番人というNPCが人格を得て何か運営側に復讐をする為にループ設定をしている事実を掴んでいるし、話していると僕の好きなその作家に似ているから、幼馴染になれて、許嫁になれて正直うれしいんだ、正直この許嫁設定には感謝している。』
「そうですよね」とメモを受け取った。
紅茶とケーキがテーブルに置かれた。「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
私はケーキを一口頬張り思わず声を上げた「美味しい」
「侍女達が噂している通り美味しいですね」
「うん、エレンとリリスも記憶を取り戻してあげて一緒に楽しめたら良かったのに」
「そうですね、取り戻す方法があるのなら取り戻したいですね、そいえば禁書庫ではなにか見つかりましたか?」
「それが、それらしい資料は見つからなかったの、エリオットが一緒に入れていれば探せたかもしれないけど」
2人は時の番人に監視されていることを考慮しんがらそれらしい話題で歓談した。
「ケーキもお茶も美味しかった、エリオット今日は誘ってくれてありがとう」
「僕も楽しかった」
「もうこんな時間、そろそろ、迎えが来る頃だから行きましょ」
「本当はアリシアと本屋とかも一緒に回りたかったけど、また今度にしよう」
エリオットが会計を済ませ、店を出た、2人は足早に馬車との合流場所に向かった。
お隣の阿久津さんはVRMMOで異世界転生を実現しました。 @toru19680123
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