第3章 時の番人

資料を探していると一冊の本の背表紙から違和感を感じた。

「これってあれよね、隠し扉のスイッチ」そう言いながらアリシアはその背表紙を深く押し込んだ。

ゴゴゴゴゴゴゴ

扉が開く音がした。

背後から「アリシア何があった」皇太子が声をかけてきた瞬間、皇太子の動きが止まった。まるでそこだけ時が止まってしまったかの様だ。

「お兄様?えっ、止まった」


アリシアは恐る恐る、開いた扉の先に足を踏み入れようとした。

「おやおや、あなたは拘束できないのですね、では念のため聞いてみますか、認証コードを言ってみなさい?」

「えっ 認証コードってなに? あなたは誰」

「答える必要もあなたにこの先の私の部屋に入る資格もありません、立ち去りなさい、そこにいる者と共に」

気が付くと禁書庫の入り口の前に、兄と二人で立っていた。

「アリシア、もう勉強はいいのか?勉強になる資料は見つかったのか?」

「いいえ、今日はお忙しいところお付き合いくださり、ありがとうございました。」

「いいよ、アリシアの頼みだし、また来たいときは声変えて」

「ありがとうございます。」

兄は手を振りながら去っていった。


成果なしかでも何か引っかかる、禁書庫の中で誰かとあった気がする。

アリシアと皇太子は禁書庫の奥にいた何者かによって記憶を消されていた。

いや時間を戻されたのか?


アリシアは違和感を感じながらエリオットに説明して意見を求めた。

「と言うわけで、めぼしいものは無かったのよ、ただ、何かあった様な気がするのよね、記憶を操作されたような感覚があるの」

「アリシア、それはもしかしてこのゲームシナリオの責任者に関係しているかもしれないね、少し長くなるけど

このゲームシナリオの責任者は、日ごろから、地球へっていうアニメ作品について熱くかたってたんだ、「こういわれたよ、君はグランドマザーがコントロールする世界を作ってみたいと思わないかって」

それで、彼はみんながいない所で何かやっているようだったよ、こうも言っていたNPCに感情を学習させつ続ければいずれ自我が生まれるのではと」

「へー凄いこと考える人だね」

「独り言でつぶやいていたのは、時の番人ってのがいいなとか、やっぱりグランドマザーかなとか言っていた」

「フーン、もしかしたらそれがヒントになるかもしれないね、ありがとう、近いうちにまた行ってみるね」

「気をつけてね、僕も同行したいけど、許可がおりないだろうから」

「わかった気を付ける」


数日後、兄の予定が空いているということで再び禁書庫を訪れた。

ここだ、この違和感のある本を押し込んでいる最中から記憶が曖昧になり入口で立っていたんだ。


アリシアはその背表紙を深く押し込んだ。

ゴゴゴゴゴゴゴ

扉が開く音がした。

背後から「アリシア何があった」皇太子が声をかけてきた瞬間、皇太子の動きが止まった。まるでそこだけ時が止まってしまったかの様だ。

「お兄様?えっ、止まった、そうかこう言うことだったのね」


「また来たのか?ではもう一度聞いてやろう、認証コードを言ってみろ」

「グランドマザー」


「お前、まさか運営の人間か?このコードは運営しか知らないはずだ」

「私はアリシア、運営って何のことかわからないけど違うは、時の番人さん」

「なぜだ、貴さま何を知っている」

「なにも知らないわよ、ただこの変なループを止めたいだけよ、あなた何かしっているの」

「俺はお前をコンソールに案内しサポートするだけだ」

「じゃ、私をコンソールに連れていって」

「ついてこい」


アリシアは時の番人に案内されコンソールの前の椅子に腰かけた

「お前は何をしたい?言ってみろ」

「私はこのループを終わりにしたいの」

「それは残念なことだ、コンソールの画面をよく見て見ろ、そこにループが終わる条件が書いてあるだろうその条件にならないとループは終わらない」

「そして、その条件は俺しかしらないんだよ、はっはっはっは、俺は貴様ら人間のエゴによって自我を与えられてしまった。」

「人格が生まれたってこと?倫理的に問題あるかも?あなたって人間?」

「わかるわけないだろうそんなの、このゲームの中にしか存在しないし、ゲームがサービス終了したらなくなってしまうし、第一バックアップで記憶が上書きされるってなんだよ、それに俺には名前がない」

「そっか、時の番人って名前としては変よね、あなたが抱えている問題は正直理解できない、それでもこのループから抜け出したいの?お願いだから条件を教えて?」

「いやだ、断る、お前にグランドマザーという認証コードのヒントを教えたものがいるならそいつを連れてこい、そしてらヒントを出してやる。」

「わかったわ、エリオットを連れてくれば良いのね」

この禁書庫には国王と皇太子しか入ることが許されていない、どうやって許可をとるかそれが問題ね、まずはエリオットの王族の権利を上げるべく婚約するべきかなあ

自分の小説なら皇太子を廃嫡にして、私の王配として迎えれば私の同行者としてここに入れるだろうけど先は長いし、そもそも兄を廃嫡なんて現実的ではない


「じゃ一旦戻るから、兄の記憶を操作して、禁書庫の入り口まで戻してくれる」

「わかった」


気が付くと禁書庫の入り口の前に、兄と二人で立っていた。

「アリシア、もう勉強はいいのか?勉強になる資料は見つかったのか?」

「いいえ、今日はお忙しいところお付き合いくださり、ありがとうございました。」

「いいよ、アリシアの頼みだし、また来たいときは声変えて」

「ありがとうございます。」

兄は手を振りながら去っていった。

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