第6詩 【紙飛行機】
これからどんな流れに乗るのだろうか
さみしげに四季と黄昏の中で
少年は佇(たたず)みつづけた
僕は夢に目も眩んだまま
生き抜くことだろう
ひとり竹やぶの中で
胸ふかく呼吸した少年がいた
野生美と静寂の空間にこりかたまった
竹の造形に見入る少年
少年はひっそりとして明るい
竹やぶの空間を愛撫しつづけた
そうして紙飛行機の好きな少年は
ここで毎日のようにそれを飛ばした
(ひょいら ひょのいら ぶんぶんぶん!
飛んでゆこうよ ぶんぶんぶん!)
それは毎日のように竹筒に突き当たり
地面は紙飛行機の残骸であふれかえったが
奇跡のように年に数回だけ
紙飛行機は夢のように
極太の竹のあいだをすり抜けていった
(オオハクチョウだ!)
(オオハクチョウだ!)
そのとき少年は
冬になると毎年きまって
あぶくま川に飛来する
大白鳥の群れを目にするように
この世に不思議を感じた
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