第5詩 【ひよどり】
鳥の巣の中から
一羽のひなどりの声がする
耳をすませば
耳をすませただけ はっきりと
生きてゆくんだっていう 喜びを歌っている
そんな 感じがする
まだ 何もできないけれど
ようやく 目が見えてきたようで
生まれたてのほやほやの息をして
気持ちよさそうに 空を眺めている
親鳥の口の中から 大好きな食べ物は
わたあめを作る時みたいに
不思議な仕掛けで出てくるから
親鳥が颯爽と舞い降りてくる
空というものを ひよどりは ますます好きになる
春のモンシロチョウに 胸が踊ったり
まぶしい夏の太陽に 目をしかめたり
ひよどりは丸く小さな巣の中から
しきりに空を眺めている
なかなか巣を飛び出していかず
歩き出さないひよどりに
親鳥は無理をしてでも
外の世界にひっぱりだそうとする
羽ばたくってことに
おそすぎるってことは ないじゃん
ひよどりは親に向かって
いっちょまえの口を聞いてくる
それを聞いた親鳥の胸の中が
なんだかハッカのように すうっとしてきた
おやおや しょうもない へらずぐちね
言葉とは裏腹に
生意気そうだけれど 芯の強そうなひよどりの目から
これから一番輝く 強い力を感じた
その瞬間 親鳥は大空に羽ばたいた
空の世界いっぱい やまずに翔(か)けめぐった
いずれあなたは幾万回も飛ぶでしょう
これから 少しずつ
お手本を見せていきましょうね
そう言わんばかりに
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