第3詩 【資格】


じゃんけんをしてチョキで


その日 僕は負けた


じゃんけんは なんとなく負けてしまった と思ったが


しかし その勢いで 僕は決めた


資格を 取ることに決めた


誰がなんと言おうと これからは資格の世の中だ


右も左もぐるーっと見回してみれば


歩いている人といえば 資格を持っている人だらけだ



「そーよこんな世の中資格がなくちゃあダメね」


「そうだな 資格がなくちゃあこれからは通用せんぞ」


これは僕の両親です



「リストラはさびしいぜ おめーもそうなる前に手を打っとくこったな」


これは偶然飲み屋で隣りに座ったおじちゃんだ。



僕は今さらながら手をぐーにして


やってやるぜ と思う


けれど 眠る


日々 スーパー眠い


なにしろ 僕は眠るのがとおっても好きだ


ぐーたらも好き のんびりも好き 亀も好き



「えーと お前さんはそれで なんの資格をとってみるんかいのう?」


これはタバコ屋の かどの オババです



僕は手をパーにして


胸にそっと手を当てうつむいて



「詩人の資格を……お恥ずかしくも……せつに取りたい……」


と のたもうた



しばらくオババの心臓の音が 時計のようにチクタクチクタクと鳴っていたが


やがて 入れ歯を飛ばす勢いで 一言返ってきた



「がんばりんしゃい」

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