第4話 瑛峰学院の構内にバラ園 学費は県内トップ
瑛峰学院大学は都心にキャンパスがあるが、瑛峰学院高校は横浜駅から5駅向こうの郊外にある。生徒の多くは最終的に瑛峰学院大学に進学することを想定しているせいか、自宅はだいたい都心寄りである。そのためあってか、通学時間は少し長くなるようである。しかし、仮に40分長くなるとしたら、理論上は40分の睡眠を足せばよいはずであるが・・・。瑛峰学院高校の生徒は、ほとんどの授業で寝まくっているようだ。理科と数学の授業ではその傾向は顕著である。大学に理科系の学部がないからである。
休み時間、『横浜ウォーキング』を読む学友たちがいた。水曜日の時間割は五時間目まであり、アフターファイブ(5限目のこと)の予定を立てるためであった。今週の『横浜ウォーキング』の特集は学園祭特集。おまけ記事として私立高校の学費ランキングがついていた。
その記事では、瑛峰学院高校は神奈川県内で堂々の一位。その記事を見て、学友たちが「すげー」とか言っている姿をみて、イサクは余計なことを漏らした。
「授業料が高いと思うんだったら、少しは授業起きろよ・・・」
学友たちは聞こえないふりをしながら、雑誌をめくっていって。そして、その中の一人が、イサクに聞こえるか聞こえないかぐらいの大きさでボソリと皮肉を口にした。
「この偽善者が・・・」
無論、イサクの耳には聞こえていた。しかし、イサクは無視したが考えこんでしまった。残りの高校生活とこのあとの大学4年間。こんな状況でずっと過ごすことになるのだろうか?いまの学院の雰囲気は正直、腐っている。しかし、今、自分の立場は生徒会長。少しでも良くしていきたい。
そんな小競り合いをした時に限って日下の古文は休講になった。古文の次は昼休みである。2時間近い休みである。さっきまで『横浜ウォーキング』を読んでいた集団は外に飯食いに行ってしまった。俺も外に行くかな?
ふと教室の中を見ると、教室の奥の方ではクリケット部員たちが談笑をしていた。窓際ではノエルが一人で読書をしていた。この状態で放っておいて大丈夫だろうか?イサクはノエルが心配になっていた。イサクはノエルを教室の外に連れ出すことにした。
高校キャンパス校舎の真横は礼拝のためのチャペルがあり、その裏手の一角はバラ園が広がっていた。バラ園は小高い丘の上にあり、そこからは潮の香を感じることができた。ときどき蜂が飛び交い、牧歌的な雰囲気が漂っていた。
高校キャンパスは内側を一周できるような散策路が設けられており、イサクとノエルはそこを散策していた。
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