第17話 テラトキア大陸は異世界の一部にすぎない

 トモキ(朋来)が転移した異世界カイベシアでは、たしかにカタカナ支配がまかりとおっていた。だが、それはテラトキアだけのこと。それが異世界のすべてというわけではなかったのだ。


 そこは異世界の一部でしかない。


 現世と異世界での交易とか、"こちら"と"あちら"は無関係ではないとか、ロン・ターマは言っていたが、こっちの世界(異世界)の内部での交易については、とくに何も聞かされていなかった。


 まあ、いろんなことをいっぺんに説明されても理解できなかっただろうから、伝えたいポイントをしぼったのだろう。


 日本語勢力の転移者・転生者が多かったのは、だった。それなら、ひらがなの含まれた本も置いてほしいし、ひらがな表記をふくむ書籍を優遇してもいいのではないかと思う。カタカナだけで書かれた本なんて、読みにくいだけだ。



 のカーチュという国は、地球世界でいうところの漢字文化圏。シューラ大陸には、他にも多種多様な文字や書き言葉が存在する。東のほうは漢字が優勢だが、ラテン文字も補助的に使われている。北のほうはキリル文字が通用している。北西のほうはラテン文字が幅を利かせている。南にはサンスクリットっぽい文字もあるが、英語の知識が普及しており、ラテン文字も通用しているようだ。シューラ大陸の南西からカーフリア大陸の北部にかけてアラビア文字が通用している。


 には、多種多様な言語があり、書き言葉を持たないものもある。そのことが英語やフランス語の存在を正当化する理由になっている。ラテン文字は通用する。


 では、ラテン文字が広く通用する。


 では、ラテン文字が幅を利かせている。ただし、漢字を使う人もいるらしい。




 なんだか、現世によく似ている。でも、こまかいところが違う。それでもやはり、地球世界からの干渉があったのではないかと思わせるようなありさま。


 そう。カイベシアは、地球出身の現生人類によってテラフォーミングされた異世界。いわゆるを経由して転移してきた人々は決して少なくなかった。





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