第7話 まずはひらがなの復活を

 図書館をあとにして、トモキは、ロン・ターマの拠点にまねかれた。まだ住む場所もないのだし、しばらくここですごすことになる。


「ここは、社会通念上は文字がカタカナだけの世界。だが、転移者・転生者の頭の中にはカタカナ以外の文字に関する記憶が確実に存在する。われわれは、こっちの"異世界"に転移してきただけなので、"転生者"というわけではないけれど、あなたはテツカズさんの知識を引き継いでいるのだから、ひらがなの知識もローマ字の知識もあるはず、ですよね。わたしは、アルファベット(ラテン文字)の知識がある」


「はい、おかげさまで。きっと、ほかの転移者や転生者の方々もそうなのでしょうね」


「さて、アルファベットを使う言語は多い。なかでも、ラテン文字は幅を利かせている。どこかにある漢字文化圏では、日常生活では漢字を使うのだが、発音のために補助記号付きのラテン文字をつかっているほどです。おそらく、漢字文化圏の人々はアルファベット(ラテン文字)の知識があると思っていいのでしょうね。ただし、同じアルファベットを使っていたとしても、その使い方は言語によって大きく異なる。いまは、カタカナも言語によって使い方が異なるようになってしまったけど」


「ターマさんが望んでいるのは、なんといってもアルファベット(ラテン文字)の復活なのでしょう。でも、わたしとしては、まずはひらがなの復活を優先させたいですね。カタカナだけの日本語なんて、見るにえない。気持ちに火がきました。鉄は熱いうちに打て。和の文字ひらがなを復活させたい気持ちです」


「実は、だいぶ前から同じようなことを考えていた人たちがいて、ひそかに活動していたらしいの。その組織の名前は、。かれらの目的は、ひらがなを復活させてカタカナと共存させること。そして、カタカナを日本語だけで使う文字にするために、アルファベットの使用を復活させること」


「われわれにとって、好都合というか、利害の一致というか、いいですね」


 うまくいけば、自分たちも後に続けという流れができあがるかもしれない。日本語以外のすべての言語が異世界でのカタカナによる支配から脱却する日は来るのだろうか。


の中心人物の名前は、平賀ヒラガ七香ナナカ。エレキギターやシンセサイザー(キーボード)が得意だという。電撃魔法と空中浮遊が可能。でも、やはり戦闘は避けたい。音楽を使って平和的に解決というのがいい」


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