第21話:ついに大家にバレる。
パンを連れて家に帰ってきた健斗。
部屋にあがるなりクチを開いた。
「あのね、もう分かってると思うけど・・・」
「だって退屈なんですもん」
「いつまで待っても曽我部っちセックスしてくれないし・・・」
「しかたないだろ俺は女性はダメなんだから」
「怒ってる?」
「怒ってるよ」
「おっぱいナメてみる?」
「ナメめないよ」
「バカにしてんのか?俺を」
「少しは反省しろよ」
「ごめんなさい」
「いくら退屈でも、これだけは言っとく・・・」
「外は何があるか分からないんだからね、怖い目に会うときだってあるんだから
やみくもに出ちゃだめだよ・・・ 」
「あと、俺にも人にも迷惑はかけない・・・分かった?」
「親から言われなかったか?人に迷惑かけちゃいけないって・・・」
「言われませんでしたけど・・・」
「どういう教育受けてきたんだよ」
「セックスしかしてきませんでしたからね」
「また、それか・・・」
「とにかく俺のいうことは絶対聞くこと・・・分かった?」
「分かりました・・・」
「外に出るときは俺といっしょ・・・分かった?」
「分かったからセックスして・・・」
「あ〜しつこいっ!!」
「し・な・い・よっ!!」
「甘えたってダメだよ」
「頼むから、ちょっとはセックスってことから離れてくれないか?」
「カップ麺でも食ってろよ・・・作り方教えただろ?」
「それでも食って、おとなしくしてろよな・・・」
それからはパンは健斗の許可なく、むやみに外にでるようなことはしなくなった。
自分でも懲りたんだろう。
でもパンをずっと部屋に閉じ込めておいたので、彼女の存在がついに大家さんに
バレてしまうこととなった。
大家は滅多に部屋には訪ねてくることはないんだが家賃の集金の日だけはやって
くるのだ。
その日、大家が集金に来る日、健斗は用事で出かけてしまっていた。
悠生君は忘れていた。
毎月、大家さんが家賃の集金に回ってくることを・・・。
今時、集金って・・・。
普通、引き落としでしょ。
お年寄りだから現金を見ないと落ち着かない大家のばあさん。
その日も大家さんは各部屋を順に回って健斗の部屋にやってきた。
「曽我部君、家賃の集金だけど・・・」
「いないのかね」
「留守・・・それとも居留守かね?」
「家賃はちゃんと払ってよ」
そこへひょこり顔を出したのがパンだった。
驚いたのは大家さん。
大家さんは部屋を間違えたと思って、
「あ、部屋を間違えたわね」
え〜住んでる人の顔くらい覚えとけよって話。
大きなマンションじゃあるまいしって言いたい。
そう言って一度ドアを閉めて部屋の表札を確かめて、またドアを開けた。
「ここ曽我部の部屋よね」
「はい、そうです」
「曽我部っち今留守です」
「はあ、そうなの・・・であんたは?誰?」
「私?・・・パンちゃんですけど」
「よろしくね、おばあちゃん」
「まあ曽我部君、隅に置けないわね・・・女を連れ込んじゃって・・・」
つづく。
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