第12話:女性もののパンツ。
健斗は、パンの朝ごはんにカップ麺を作ってやって当面必要なものをスーパーに
買いにでかけた。
健斗のアパートから歩いてすぐの近所にスーパーが一軒ある。
たいがいの雑貨はそのスーパーに揃っていた。
サイズもよく分からないままパンの服、タオルにバスタオル、歯ブラシに
コップ・・・
銭湯へ行くための洗面器、シャンプー&リンス、ヘアブラシ、 トイレット
ペーパーもティッシュも余分に・・・。
「生理用品だっているだろ?、生理がないなんてことないよな」
「精霊だから、そんなものありませんとか言われたりして・・・」
「あ〜あ、バイト代が減ってくな〜」
「問題はパンツだな・・・女の子のパンツ・・・」
「買うのか、俺が・・・」
これにはさすがに健斗も抵抗があった。
パンが自分で買えないんだから俺が買うしかないよなって思った。
健斗は女性用のパンツコーナーの横を柄と色を物色しながらホッキョクグマみたいに
行ったり来たり・・・。
警備員の人が見てたら万引きと間違われたかもしれない。
他のものは難なく買ったが・・・パンツは・・・。
「買えるわけないじゃん・・・」
「男が女もののパンツなんか物色してたら絶対変質者だって思われるよ 」
「かと言ってな〜、ノーパンじゃマズいしな・・・」
健斗はベランダに干してある女性のパンツを盗むヤツの気持ちがよく分かった。
(あれなら、嫌な思いしないでタダで手に入るもんな・・・)
(しかも洗ってるとはいえ履いたヤツだし・・・)
(新品のパンツより一度でも履いたパンツとでは価値が違うし、新品のパンツは
履いたパンツにはエロいと言う点で到底太刀打ちできないよな・・・)
(そういう意味では女性のパンツは男のスケベ心をそそる最強のアイテムの
ひとつだよ・・・それだけにいざ買うとなると抵抗を感じるな〜)
パンツのコーナーを目の前にして余計なことを真剣に妄想する健斗だった。
まあ、真面目だった健斗には干してあるパンツを盗む勇気なんかはないわけで・・・。
(たった一枚のパンツ盗んで捕まったら割に合わないわな・・・)
健斗は、もうかれこれ30分はパンツのコーナーをうろうろしていた。
時々ペットのコーナーへ行ってみてはまたパンツのコーナーへ戻って来る。
そんなことを、いつまでも続けていても ラチがあかないと思った健斗は
覚悟を決めて女性用のパンツを何着か、ろくに見もしないで掴み取って、
買い物かごの中の他の品物の下に潜らせた。
そんなことしたって意味ないのに・・・。
最後の関門・・・レジのおばちゃんの前で買ったものをさらけ出さないといけない。
自動精算機があったらよかったのにって健斗は思った。
「まったく、冷や汗もんだよ」
案の定レジのおばさんにジト目で見られた。
パンツを買わなきゃいけない理由をレジのおばさんに言って納得してもらいた
い健斗だった。
でも事実を話したら、余計変な目で見られたかもしれない。
「俺、なにやってんだろ・・・なんで女モノのパンツなんか買わなきゃいけ
ないんだよ 」
「全部、パンのせいだよな」
「いや、あの子のせいにしちゃ可哀想だ・・・俺が酔っ払たりしなきゃ」
「だけど、女モノのパンツが買えたらもうどんなものでもなんでも買えるな」
健斗はなんだか障害をクリアしたことが大きなことをやり遂げたことみたいに
ホコリに思えてきた。
問題はパンが素直にパンツを履いてくれるかどうかだった。
「お、そうだ・・・」
健斗はなにを思ったのか、そのまま薬局へ寄ってコンドームを一個買った。
ただの避妊用具だと割り切ってはいたが、ちょっと恥ずかしい気もしたが、
女もののパンツ買ったし、コンドームくらいどうってことなかった。
何種類かあって、どれがいいのか分からなかったから一番薄いというヤツを買った。
万が一、もしパンとセックスするようなことになったら必要になるだろうって
思ったからだが・・・
「妊娠させちゃうと困るし、可哀想だし・・・」
どこまでも真面目な考えの健斗・・・できもしないのに。
普通は律儀にそんなことを考える男は少ないと思うんだけど・・・。
世の中は案外自己中男が多いから・・・。
健斗はコンドームなんか買ってるより、その前に女性アレルギーをなんとかしろ
って話なんだよな。
つづく。
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