第10話:意外ね、カップ麺。

大学から帰ってきた健斗。

パンはいいつけを守って、寝息をたてて眠っていた。


「おとなしくしてたんだな・・・よかった」


すると待ちかねたようにパンが目を覚ました。


「あ・・・お帰りなさい・・・曽我部っち」

「ハグしてください・・・」


「ダメダメ・・・ハグなんかしたら・・・ジンマシン」


「アレルギー克服しましょうよ、セックスして」


「もうそれ、口癖になってるだろ・・・」


目を覚ましたパンは早速健斗にセックスを迫った。


「なんだよ、結局パジャマは着ないんだな」

「頼むからさ、服着ろよ・・・ねえ・・・着てくれる?服、頼むから」


「何もないほうが解放的でいいんだもん」


「俺のためだと思って服は着て・・・ね」


「ねえそれより・・・セックスしません?」


「そればっかだな?・・・なんかさ、他のこと言えないか?」


「セックス・・・」


「・・・わざと言ってるだろ・・・」


パンはイタヅラそうにクスクス笑った。


「ったく・・・ほら・・・食べ物買ってきたけど・・・食べるか?」


「セックスもしたいですけど、お腹もペコペコです」


「ニンフちゃんも何か食べないとお腹空くんだな・・・食べなくても大丈夫

なのかと・・・」


「食べなくてもなんとかなりますけどね・・・セックスさえしてれば」

「曽我部っちがセック・・・・させてくれないから私、干からびちゃうかもですね」


「ごめんな、それは無理だから・・・」

「なに食べる?おにぎり?・・・・・・それともカップ麺でも作ってやろうか?」


「カップ麺?・・・それなんです?」


「食べてみたら分かるよ」

「ちょっと待って、お湯沸かすから・・・」


しばらくしたら台所からカップ麺を二個持って健斗が現れた。


「3分待って」


「待ってる間にセックス・・・」


「黙れ・・・」


健斗は自分のクチに人差し指を当てて、しゃべるなってジェスチャーをしてみせた。


「3分でイケるわけないだろ、俺はそこまで早漏じゃないよ」


「私の知ってる牧神は3分どころか、する前にイっちゃった人、何人もいますよ」


「それはきっとパンが魅力的だからだよ」


「え?本当ですか?」


「でも俺は、そこまでは速くない・・・とは思うけど・・・」


「したことないから、分かんないんでしょ?」


「試しに、してみます?」


「その手には乗らないよ」


「ふん、つまんない」

「冗談でも、ノッてほしかったんですけど・・・」

「あ〜あ、私はたぶんセッ・・・しかできないよう神様が作ったんですね」

「神様は自分たちの欲求を満たすためだけに私たちを作ったんでしょうからね」


「気の毒だよな・・・」


心無い返事だった。

そんなこと言ってるうちに、とっくに3分過ぎていた。


はじめてカップ麺なる食物を口にしたパンは目を丸くした。

美味しかったのだ。

今まで食べた、どんなモノよりも・・・。


「こんな美味しいもの、はじめて食べました・・・すごいです〜」


「よかったな、口にあって・・・」

「欲しかったら、俺の分も食べていいよ」


(向こうじゃさぞかし、ろくなもの食ってなかったんだろうな・・・)


と健斗は思った。


パンは健斗のカップ麺の汁まできれいに平らげた。


でも、驚くことにカップ麺はことの外、パンには合ったようでカップ麺を食べた

あとは、あれだけセックス、セックスって口グセみたいに言っていたのにパンは

セックスって言葉を口にしなくなった。


つづく。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る