第9話:退屈を持て余すパン。

次の朝・・・。


「ねえ、学校なんてとこ行ったってつまんないでしょ」

「今日はお休みして私とセックスしましょうよ」


パンがセックス、セックス言うから、その言葉に慣れてしまった健斗。

興奮すらしなくなった。

パンは甘くてエロい声を出して健斗に近寄って来た。


「だから、迫ってくるなって・・・」


パンは嫌がってる健斗の顔に強烈な媚薬フェロモンを吹きかけました。

そんなのを吹きかけられたら普通の男なら、もう下半身はとっくに爆発する

わけで・・・健斗は女がダメだから、なんとか抑えていた。


エロい気分になってもできないんだから・・・なるだけ無駄。


「やめろよ〜・・・だから〜もう勘弁してくれ」


「とことん女性アレルギーなんですね」


そうなるとパンはニンフとしてのプライドが許さない。

眉を細めて、健斗を睨んだ。

世の中は皮肉なもんだ・・・。

エロい娘に女性アレルギーの男。

ふたりは相容れない最悪の組み合わせだったわけで、でも世の中は得てして

そう言うもんでしょ。


健斗はパンに外に出ないよう、再度クギをさして大学にでかけて行った。


ようやくパンから解放された訳だが、これからのことを考えるとウンザリ

する健斗だった。


ひとり部屋に残されたパンはとうぜん暇を持て余す。


「退屈くつくつ・・・」

「体が火照ってきちゃった・・・ああセックスしたい、あ、ニャンニャンしたい」

「潤いがほしい」」


「パンの場合はひとりでやっちゃっても意味がない。」


パンはとにかく男と定期的にセックスしないとだめな体なのだ。

正確にはセックスした相手のエキスを吸い取って生きてるわけで下手すると

相手の命を奪ってしまう可能性だってあるのだ。


だから、ひとりでやっても、その時、気持ちがよくなるだけで、あまり効果的

ではなかった。


結局なにもしないままパンは体力を温存するため眠ってしまった。


さてパンが住んでた異世界では、たくさんの精霊や妖精が住んでいる。

精霊は基本的には女神アルタリスに従って山野に遊び暮らしていて、

主にゼヌスやアへロン、ヘルトスなどの有力な神々の寵愛を受ける一方、

スケベな 「サチュロス」牧神たちとも戯れ、人間の青年ともセックスに明け

暮れていた。


またパンの属性以外にも川の精(ナイアデス)、木一般の精(ドリアデス)、

トネリコの精(メリアイ)、山の精(オレイアデス)、森の精(アルセイデス)、

牧場の精(レイモニアデス)などがいた。


このほかアケロオス川の精(アケロイデス)、ニサ山の精(ニシアデス)と、

さまざまな精霊がいて、いずれも定期的にセックスをしないと自らの身を滅ぼす

運命を背負っていた・・・つまりセックスがないなんて考えられない世界なのだ。

パンのいた世界は酒池肉林の世界だったんですね。

うらやましい限りです。


一方、講義を一段落終えた健斗はアパートに帰るのが憂鬱でしかたなかった。

帰ったら淫乱女が待ち構えてると思うと・・・でも、なんて贅沢な悩み。


(パンはいつまで俺のところにいるつもりだろう?・・・

行くところもないだろうし、俺がセックスできるようになるまで一生付きまと

われるのかな・・・)


(パンは俺が女性アレルギーを克服するまで諦めないって言ってたし・・・

この女性アレルギーを克服しないかぎりパンからは解放されないということか

・・・かと言って追い出すなんて可哀想なことできないし)


(いやいや、俺がパンを受け入れたらパンはさらに味をしめて俺から離れなく

なる可能性の方が高いな・・・)

(どっちみちパンは俺んちに居座ることになるんだ・・・)


だけどもしパンとセックスができるようになった時が俺が女性アレルギーを

克服できた時なんだろうな・・・そうなったらいいんだけどな。


さて、大学を出た健斗は、とりあえずそのままバイトに向かった。


「そうだパンは朝、パン一枚しか食べてないんだよな・・・昼ごはん作って

やれてないから腹減ってるだろう?」

「精霊だからって腹くらい減るだろうからコンビニでおにぎりとカップ麺でも

買って帰るか・・・」


パンに迷惑をこうむってる健斗だったが一応は彼女のことを心配はしていた。

バイトを終えた健斗はコンビニに寄っておにぎりやらカップ麺にスイーツ

なんか買ってアパートに帰った。


パンはいいつけを守って、寝息をたてて眠っていた。


「おとなしくしてたんだな・・・よかった」


すると待ちかねたようにパンが目を覚ました。


「あ・・・お帰りなさい・・・曽我部っち」

「ハグしてください・・・」


「ダメダメ・・・ハグなんかしたら・・・ジンマシン」


「アレルギー克服しましょうよ、セックスして」


「もうそれ、口癖になってるだろ・・・」


つづく。



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