第2話:健斗のアパート。

「めっちゃお酒臭いです・・・あなた」


「お、おれ?・・・ゲブッ」


「わっ臭っ」


「あ〜はじめまして」

「俺は曽我部 健斗そがべ けんとって人、現在大学に在学中の日本人、で、男性、血液型はO型、

卯年・・・で、現在22歳・・・彼女いない歴・・・何年だっけ?」

「そんなとこかな?おネエちゃん・・・」

「で?君こそ、誰?」


「私、おネエちゃんじゃありません、名前は「パン」って言います」


「あんだって?パン?・・・食べられるの?」


「そのパンじゃなくて・・・普通のパンです、でニンフやってます・・・」


「え?インポ・・・インポなの?・・・?君、女なのに?」


「ニンフ・・・インポとかじゃなくて・・・どう言う耳してるんでしか?あなた」

「インポじゃなくてニンフです」


「あ〜ニンフちゃんね〜・・・おネエちゃん、面白いね」


「面白いのはあなたのほうです」


「ふ〜ん・・・まあいいわ」

「ところでさパンちゃん・・・なんで君ゴミ箱なんかに入ってるの?」


「このあたりが一番霊力が強いみたいです、磁場がゼロなんですよ」

「私、この異次元トンネルを通って異世界から人間界にやって来たんです」


「へ〜・・・そのゴミ箱、心霊スポットなんだ・・・」

「で?その異世界とかってとこから追い出されたの?・・・あマズッったんだ」

「誰かと不倫しててバレたとか?」


「そんなんじゃないです、なんでそう言うことになるんですか?不倫なんか

一度もしたことないです・・・」


「あらら・・・じゃ〜パパ活とか援交とか?」


「・・・・・あのね、私をからかってます?」

「なんで、わざわざそっち方向に持ってこうとするんですか、もう」


「いや、わざとじゃなくてね」

「つうかさ・・・いつまでそうやってゴミ箱に入ってるつもり?」

「そのうち回収車がやって来てゴミと一緒にぷい〜って持って行かれちゃうよ」

「夜風も冷えることだし・・・なんならさ、よかったらだけど俺んちへ来てみる?」


「いいんですか?お邪魔しても・・・」


「見ず知らずの男のところに来る勇気があるならどうぞ〜なはは」

「ただし泣いて帰ることになっても知らないよ?」


「泣いて帰る?・・・意味分かんない」


「いいから、どっちみちそのままじゃダメでしょ?」


「そうですけど・・・まあ、そんなことならお言葉に甘えて・・・」


そう言ってパンはゴミ箱から上半身を乗り出した。

健斗の目の前に、程よくタワワなおっぱいが・・・。


「あ〜やっぱり飲みすぎたかな俺・・・」


「あの、出ていい?」


「どうぞ・・・そのぶんだと下も、すっぽんぽんだよね・・・俺は見ないように

するから・・・出たら俺についておいで」


ゴミ箱から出てきたニンフちゃんのパンは、さっさと帰って行く健斗の後を裸の

ままヘコヘコついて行った。


女性アレルギーだってのに女を部屋に入れたりして大丈夫なのかな?


健斗の部屋にあげてもらったパン、遠慮がちに佇んでいたら・・・

 

「あのさ、その辺に適当に座ってて・・・ベッドでもいいし」


「ごめんなさいね・・・図々しくお邪魔して」


「いいの、いいの・・・俺の他にいるのはゴキブリくらいだから」

「あのさ・・・悪いんだけど話は明日聞くからとりあえず寝かせてくれる?」

「それから、そのままでも俺はいっこうに構わないんだけど、とりあえず

これ着て」


そう言うと健斗は自分のパジャマをパンに渡しておいて自分はパンをほったら

かしたまま勝手にベッドに寝転んでさっさと寝てしまった。


ひとり取り残されたパン、しかたないので寝てる健斗をギューギュー奥に

追いやって狭っ苦しいシングルベッドで健斗の背中に抱きつくようにして眠った。


パンにとって健斗は人間界ではじめて出会った男だけど精霊のニンフちゃんに

とって男に抱きつくなんて普通のこと・・・それが人間の女性なら問題かもしれない

けどニンフちゃんにとってそれは日常茶飯事な出来事だった。


つづく。








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