第50話イフリート達の命運

 おもてなしの準備を優雅に眺め、ひたすらに待ち惚けてるが、火蜥蜴女が足元にしがみ付いて邪魔臭い。

 グズグズ半べそ掻きやがって。

 精霊王の評価をまだ引きずってるなら、ふざけた話だぞ。


「おい。離れんと踏み潰すぞ」

「ワタシの存在意義が容姿だけ……受け入れ難いですぅ……ぐすん」

「自業自得だろ」

「うぅ……新魔王様は見捨てたりしませんよね?」

「知らん」

「ぐすん……酷いです……」


 惨め過ぎて、逆に救いたくないんだ。

 誰かに縋るのは浅ましいが、行動力は認めてやる。


「あのー勇者様。ワシは見捨てませんよね?」

「あ? 何を突っ立ってる。さっさと半裸男を手伝って来い!」

「ひぃいいい?! い、行ってきますぅぅぅ!」


 たく……指示待ち野郎め。

 人間界にも似た連中が、うじゃうじゃだったな……。

 今度帰った時に正してやるか。


♢♢♢♢


 ほぉ、これがおもてなしの数々か。

 テーブルにグツグツ煮えたぎる真っ赤な料理、燃え盛る料理、溶岩でトッピングされた何かが大量に並べられてるな。

 匂いは今のところ悪くはない。

 辛味の香辛料をふんだんに使ってる感じか。

 

 早く席に座りたいが、火蜥蜴女が腰に引っ付いて鬱陶しい。


「座れん、離れろ」

「いーやーでーすー……離したらポイっと捨てるんですよね?」

「原型がある内に離れろ」

「はい」


 最初から素直に従っておけ。

 まったく、面倒を掛けやがって……魔王も案外くたびれるものなんだな。


 そんなことはさておき。

 おもてなし料理を頂きたいが、半裸男に一つ聞きたい事がある。


「グロ食材は使ってないか?」

「ま、まぁ……味には変わりない筈だ」

「味もクソなら、貴様を異動させるからな」

「ど、どこへ?」

「陸もない水辺だ」

「ひぇ……」


 さぁ、半裸男の命運の掛かったおもてなしだ。

 手厳しく評価してやる。

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