第46話新魔王お姉ちゃん

 ようやく静謐が訪れ、色白と二人きりだ。


「聞き忘れてたが、色白の役割は何なんだ?」

「え? あー主にトラップの制御、新しいトラップ作ったりですかね」


 ちゃんと仕事してるみたいだな。

 関心関心。

 ゲームは息抜きだろうし現状維持で大丈夫だろう!

 よし、この流れのまま、アレを頼んでみよう!


「最近だと、ゴーレムさん達と共同で、魔王城変形装置を先日完成さ」

「色白、私の頼みを聞いてくれるか」

「ふぇ? な、何ですか?」

「いいか……わ、私をお姉ちゃんと呼んでみてくれ」

「え」


 気のせいか、若干身を引いたか?

 ふふ、両肩を掴んでホールドしちゃったぞ?

 さぁ、お姉ちゃんと呼ぶんだ♪


 戸惑った顔のもじもじ姿に、辛抱たまらないぞ!


「あ、あの……言わないとダメですか?」

「私は望みを諦めない主義だ」

「あぃ……」


 ふふ、観念したか。

 肩の力が脱力したな。

 さぁ、私は何時でもウェルカムだ!

 存分にお姉ちゃんと呼ぶがいい!


「えーっと、じゃあ……お、お姉ちゃん……?」

「ほっふ」


 あまりの可愛さに胸埋めしてしまうぞ!

 バタバタと暴れてるが、今の私に理性は無い!


 時間を忘れる程に抱き締めたせいか、くったりと動かなくなった。

 はぁ……どうして生き物は脆く儚いものなのか……。


「ありがとう、我が妹よ……」

「何言ってるんですか勇者様?」

「ひょわ!? 急に後ろから蘇ってくんじゃねぇ!」

「ちょ!? あぶな!?」


 右腕での奴め……怒りの鉄拳を回避したがって……。

 貴様はあのまま壁画人生を送っておけば良かったんだ!


「ふっは! ……あ、あれ? 僕、何してたんだっけ?」

「あ、オートマタ君! 勇者様に何か言ってやってよ!」

「え? お姉ちゃんにですか?」

「キュン」


 ナチュラルにお姉ちゃん呼びか……。

 色白は私の妹なんだな……。


「え? ちょっと大丈夫、オートマタ君? 今、魔力注入で記憶を正常化してあげるよ」

「お、おい貴様!? ま、待て!」


 本当に魔力注入しやがった?!

 

「はふぅ……頭が凄くスッキリしました!」

「うんうん。じゃあワシらは行くとするよ」

「はい! では、僕はこれで!」


 部屋に戻った色白は、落胆する私を気に留めなかった。

 生まれてこの方、一番のショックだ!

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