第34話ゴーレムの1000年の悩み解消

 どうやらこの丸岩が、ゴーレムの頂点に立つ者みたいだ。

 しかしながら、右腕が1000年振りだと言っていたが、その間サボってやがったのか?

 もしそうなら、粉微塵にして右腕に飲ませてやる。


「丸岩。1000年もの間、どこか行ってたのか?」

「体を癒す旅行に行ってたんじゃ」


 如何にも年寄り臭い理由だな、そもそも岩の体に癒しなんて必要なのか?


「で? 良くはなったのか」

「それが全く良くならんかったんにょよ」

「1000年無駄にしたな」

「全く何も言い返せないにょ。体を壊してからにょ、真面に仕事が出来にゃくて、困りに困ってるにょに」


 だとしても、デカ岩と苔岩がいるなら問題ないだろう。

 いつまでも、優遇された立場に縋り付く、哀れな年老いた連中に成り下がるぞ。


「新魔王様。仙人様のゴーレムの中では、腕はピカイチ。師匠のオレでさえ、まだまだヒヨッコなんです」


 そうか、つまり私のプライベートルームを造らせるなら、丸岩が適任といことか。

 なら話は早い。


「おい仙人。体を今すぐ楽になりたいか」

「しょら、願ってもない事でしゅにょ」

「そうか。どれ、私がそのクソみたいな体を踏んでやる」

「ちょ、勇者様! いくら何でも失礼ですよ!」

「おら、早く四つん這いになれ」

「何だか興奮してしまう、自分がいましゅにょ!」


 惨めったらしい四つん這い姿になったな。

 息を荒立てているのが気になるが、お望み通り踏んで体を楽にしてやる。


 私の生美脚に力を一部開放し、魔力に変換させる。

 魔の者なら、きっと効果的面だろうな。


 グイッと踏みつけた途端、丸岩は体をビクビクさせた。


「おほぉぉお~! こ、これは何とも言えぬ快感! も、もっと踏んじょくれぇ~!」

「どんな刺激にさえ、うんともすんとも言わなかった、あの仙人様が! 気持ち良さ気な声を上げてらっしゃる!」


 いや、美人の美脚に踏まれて喜ぶ、ただの変態だろ。

 やる気が一気の削がれたが、満足するまで踏んでやるか。


 それからというと、丸岩はキモ声を上げ続け、昇天しかけていた。


「は、はひぃ。こ、こんなに身体が軽くにゃったのは、若かりし現役時代以来にょら」

「そうか。貴様の願いは叶えたんだ、私の願いを叶えろ」

「喜んでお引き受けするにょ! お前らも全身全霊で、新魔王様の願いを叶えるのにゃ!」


 仙人の復活にゴーレム達は涙を流しながら、一致団結するのだった。

 岩のくせに、涙が出るんだな、なんか引くわ。


「良かったですね勇者様!」

「あぁ。とりあえず、ここは用済みだ。次の階層に行くぞ」

「イエッサー!」


 プライベートルームの話は後日することになり、ゴーレム共に見送られながら、二階層のゴーレムラビリンスを後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る