第33話ゴーレムの師弟関係
とりあえず名前だけは名乗り、ゴーレム達は新魔王である私に、即順応した。
話の分かるデカ岩でいいな、非常に気に入った。
「で、今日は何の用だ?」
「えー昨日から魔王城見学をしてまして、今日は本城の階層見学をしに来た訳です」
「ガッガッガ! なるほどな! 新魔王様に知って貰う為か!」
いちいち声がデカい奴だな……口を開く度に砂利が飛ぶから、少しは抑えて欲しいもんだ。
「なら、とっておきのゴーレム情報があるぜ!」
「なんだ」
「この魔王城は、オレらゴーレムが造ったもんだ!」
「ほぉ」
右腕に見合わない、妙にイカした巨城だと思ったが、ゴーレムが造っていたのか。
ここは素直に褒めてやらんとな。
「中々やるじゃないか」
「当たりめぇよ! ゴーレムに造れねぇものはねぇ!」
ほぅ……ならば今度、犬太郎の家でも作って貰おうか。
定期的に触れ合いたいからな、なるべく近場が好ましいな。
私が注文をし掛けた時、置く扉から重厚音が聞こえ、苔の生えたゴーレムが姿を見せた。
「若造がいけしゃあしゃあ言ってんじゃねぇ」
「し、師匠! お休みになってったんじゃ?!」
「こ、この方は親方の師匠である、ゴーレム師匠ですよ!」
右腕の奴が頼んでもないのに、苔生え岩について説明しやがった。
貴様は私の聞きたいことだけに応えればいいのに、どうしてこうも存在感をアピールしたがるんだ。
「話は聞かせて貰った。新魔王様、物造りならこのゴーレム師匠に任せてくれ」
「横入りなんて、ずるいですぜ師匠!」
「うるせぇ! ガキは黙ってろ!」
「ひゃいん!」
さっきまでの威勢良い姿は、どこへやら……どの世界でも上下関係はハッキリしてるのは分かった。
で、苔岩の方が腕っぷしがいいのなら、私のプライベートルームでも造って貰うか。
今朝みたいに、右腕が起こしに来る真似ができないような、しっかりと厳重警備が施されたプライベートルームが望ましいぞ。
早速頼もうとした矢先、入り口が静かに開き、私の腰丈程の丸い岩が、ゆっくり転がって来た。
そんな丸岩から短い手足が現れ、どこからともなく出した杖をつき始めた。
「ワシも話に混ぜんしゃい~」
「せ、仙人様!? いつお帰りに!?」
「今じゃよ~ほれ、土産の砂饅頭じゃ~」
どこに土産を収納していたんだ、あの丸岩は。
「あ、あの方はゴーレム師匠の師匠、ゴーレム仙人!」
「おい。どんだけ上の奴がいるんだ」
「え? 仙人で終わりですけど」
何を言ってるんだこの人は、って顔をしやがって……リアル福笑いにしてやろうか?
「して~綺麗なお嬢さんは誰かの~?」
「新魔王だ。そこのハゲが元魔王だ」
「どうも。千年振りになります」
「ワシの気のしぇいかにょ~ハゲの位置が変わっとらんか?」
「そうだとしても、ハゲには変わらん」
「そうじゃの~」
「ハゲの下り、もうやめませんか?」
元々ハゲている貴様が悪いんだ、私達に悪はない。
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