第18話新魔王の力
あんな狭苦しい搭に住まわすより、ここらで放し飼いした方がすくすく成長するだろう。
「いいか犬太郎。私が口笛を吹いたら来るんだぞ」
《ギャウ!》
「では、意のままに行け」
《ギャウ! ギャウ!》
駆ける後ろ姿も勇ましいな~我が子を溺愛している気分だな、ふふ。
で、私の足元で呑気に伸びている、右腕を起こさねばな。
放置して魔獣の餌にしてもいいが、魔獣が腹を壊しでもしたら困る。
「いつまで寝てやがる」
「んげげげ?! お、起きたんで! 顔から足を退けて下さい!」
「こうやって起こされると、男は喜ぶと聞いたぞ」
「変癖な連中だけですって! いたた……」
変癖しかなさそうだが、わざわざ隠さなくてもいいんだぞ。
しかしながら、見晴らしのいい場所になったな……。
せっかくの空き地だ、ここは私の好きなようにしよう。
夢が色々と広がるな、ふふ。
「あわわ……どうしよう、これ……」
「何を顔青ざめている」
「西塔の周りに、妻の大事にしていた
「へぇー。で」
「ワシ、殺されます」
「良かったな」
「血も涙もない!」
右腕の妻か、どんな姿をしているのだろうか……あまり想像つかんな。
ともあれ、コイツは尻に敷かれている雑魚なのは分かった。
「くぅ……今日はもうやる気がないので、解散しましょう」
「は? まだ今回の目的を果たしていないぞ、この愚か者」
「……なんでしたっけ?」
私はこの時初めて、従来の力の一部を開放し、遠方の山脈を一瞬で消し去った。
人間の世界で言う、初級火球を撃ったまでだが、これほどまでの威力をもつのは、この世で私しかいない。
「あ、あばばばば……や、山が……」
「慈悲で、もう一度聞いてやる……私の目的はなんだ?」
「あの……その……は!勇者様のお部屋探し!」
「……そうだ」
「ほっ……」
ホッと胸を撫で下ろすとは、いい度胸だな。
「だが、許すとは一言も言っていない」
「な!?」
その後、私が右腕を追い回したのは言うまでもない。
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