第3話:ふたつの心、一つのきらり

怪獣を倒し、街のヒーローとなったきらり。しかし、きらりの心は穏やかではなかった。魔法少女としての生活は、きらりが想像していたものとは少し違っていたからだ。


女の子の姿で過ごす時間は、きらりにとって新鮮で楽しいものだった。可愛い服を着て、女の子の友達とのおしゃべりを楽しむ。それは、男の子だった頃には経験できなかったこと。


しかし、同時に、男の子でいたいという気持ちも消えることはなかった。男の子の友達とバカ騒ぎしたり、大好きなサッカーをしたり。そんな時間も、きらりにとっては大切なものだった。


「あたし…どっちの自分も大切にしたい…」


きらりは、魔法少女と男の子、二つの自分との間で揺れ動く。そんなきらりの葛藤を見かねて、妖精はきらりに語りかける。


「あなたは、魔法少女であると同時に、男の子でもある。どちらも、あなたの大切な一部。どちらかを否定する必要はないんだよ。」


妖精の言葉に、きらりはハッとする。そうか、どちらも自分自身。どちらかを捨てる必要はないんだ。


「あたしは…魔法少女のきらりでもあり、男の子のきらりでもある。どちらも、あたしなんだ!」


きらりは、二つの心を一つに受け入れる決意をする。


それからというもの、きらりは魔法少女と男の子、二つの姿を使い分けながら生活するようになる。学校では男の子の姿で、友達と過ごす。そして、困っている人がいれば、魔法少女に変身して助ける。


最初は戸惑うこともあったが、きらりは次第に二つの生活を楽しめるようになる。魔法少女として戦う時も、男の子として友達と遊ぶ時も、きらりはいつも全力だった。


そんなきらりの姿を見て、周りの人たちも少しずつ変わっていく。男の子の友達は、きらりの女の子の姿を受け入れ、応援するようになる。女の子の友達は、きらりの男の子としての強さに惹かれていく。


きらりは、魔法少女と男の子、二つの心を持つことで、たくさんの人々と繋がっていく。そして、きらりの周りには、いつも笑顔があふれていた。


「あたしは…あたしのままでいいんだ!」


星降る夜空の下、きらりは自信に満ちた笑顔を見せる。それは、魔法少女と男の子、二つの心を持つ、新しいきらりの物語の始まりだった。


第4章へ続く…







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る