IMAGEBREAK第一話『学問の神様』

逢坂 しょうが

第1話『学問の神様』〜ひねくれ優等生〜

『ねぇ、神野さんって羨ましいわよねぇ。』


『あ〜、わかる〜。確かお母さんが歴史学者でお父さんはオタクの大学教授なんだっけ?元から頭がいい家系で羨ましいな〜。』


邪魔だなぁ。そこ、通りたいのに。

私の目の前で女子高生二人がコソコソと話していた。


ここは私の通学路だ。周りには神社がたくさんあり、神秘的な光景が広がっている。


『…すみません。そこ、通りたいんですけど。』


『あっ、ごめんなさ…って本人じゃん。』

『マジだるう〜。』

 

そう言って私の目の前を女子高生二人組が通り過ぎた。


 



『しんど。』


私は聞こえない距離で呟いた。


学校に着いたら着いたで地獄のような日々だった。


『さっすが!ミス・パーフェクトだな!神野は!』

はははっと恐らく悪気のない熱血教師が言った。

内心、うるさいなぁ。こっちだって努力しているんだよと思いながら、教卓の下で握り拳をつくった。



『…ありがとうございます。』


私は笑顔を取り繕いながら言った。



ギロッ

クラスメイトの女子に睨みつけられたような気がした。

私はそれを見ないフリをして席に着いた。 

それから何時間たっただろうか。

やっと授業が終わり、放課後になった。

私は黙って帰路を歩いていた。


『やっと終わった。疲れた。』

私はそう呟いた。





『…もう嫌だ。なんなの。あの空間…。』 


私はしゃがみこんだ。


私は何にも悪くないのに。

先生があんなひどい事を言っても誰も何も言わない、…重苦しい空間。



『もう、嫌だ。苦しい。』 


やっと…楽になれる。


私はその時、おそらく死んだ目をしていただろう。

そう私は黙って横断歩道の中に飛び込んだ。


『危ないっ!!』


え?今の声ー


誰?


私はそんな事を考える余地もなく

道路の中に飛び込んだ。


ドンッ

ブシャッ


私の周りに血の海が一瞬にして出来上がった。

いたい。痛い!

いやいや、自業自得だろと私は心の中でつっこんだ。

運転手さんは何にも悪くない。

私が飛び込んだのが悪いんだ。


私がそう思っているとー…

私の目の前に容姿端麗な男のこが視界に映った。




『君、大丈夫?』


『…え?』


『俺は菅原道真。勉強嫌いな学問の神様なんだ〜。』

学問の神様?菅原道真?

何を言っているんだ。この人は。

明らかに怪しい人ではないか。

逃げた方がいいのでは?

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