第14話 おやじの話「狐に化かされた話」

今から70~80年前のはなし。


親父の実家は平野の中にある中規模の村でした。近隣にも村が点在しており、となりの村でも1~2キロしか離れてなく、近くの町でも2時間も歩けば着けると言っていました。


ある夏の夜明け前、友達と魚取りで村外れに行くと朝もやの中から、年配の男が一人歩いて来て「ここはA村か」と尋ねてきました。親父は、「ここはC村でA村は反対方向だ」と答えました。


話を聞くと、「A村を目指して町から歩いて来たが、一晩中歩いてもA村に着けなかった。」との。


男は、「そうか」と言い、A村の方向へ歩いて行ったそうです。


親父は、男がきつねに化かされたか、自分たちが化かされたか。と笑いながら話していました。

はるか昔なはなしです。

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