第2話
「おはよー。課題終わったー?」
疲れ切った様子で私の席に近づいてくる真菜。しゃがんで机にへたり込む。タコのようにへばりついた。
「ぎりぎり終わったよ。けど全然テスト勉強できてないや。なんとかなるかなぁ…」
「私終わってすらないんだけど。赤点取っちゃいそうだよ。やばいー!」
焦った表情をする真菜が可愛かった。声を漏らしながら首を左右に振っていた。彼女の手を触れようとしたが止めた。白く細い指が宙をくるくるかき回していた。その美しさに思わず手が動きそうになっていたのだ。
同性での恋愛のメリットは多い。異性の恋愛よりも好きな人と話す機会が多いこと。お出かけやボディータッチは自然なことであるためしやすいこと。着替えが一緒であることは私の中ではデメリットしてカウントしている。女子更衣室に男子がいて、いっしょに着替えているようなものだ。気づかぬ間に性的な目で見られていたらとても不快に感じるだろう。着替え中は、私がここにいていいのかと常に罪悪感が伴っている。ここだけの話、欲望には逆らえないもので見ないようにしていても見てしまうものだ。本当に申し訳ない。私にとって着替えの時間は生き地獄である。
「もうショート始まっちゃうわ…お互い頑張ろうね」
むくりと起き上がって自分の席へとよたよた歩いていった。もうあと一時間ほど真菜と話せなくなってしまうことに悲しみを感じながら彼女の背中を見ていた。いつでも話せるのに、話してもらえるのにまだ欲しがってしまう。もっとずっと一緒に居れたらと物想いに更けていた。
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