『クラシック音楽の反逆!』 12
シンヤーマは、なんのへったくれでもない、農民の子孫である。
母の家は、単なる農家であり、父も、もとは農家だったが、先祖が騙されて土地を失い、そのあとは、お菓子屋、やがて、工場労働者となった。
まあ、典型的な労働者、農民であり、まさに、なんの力も無かったのである。
それが、無理やり冬眠させられて、目が覚めたら、まるで、地球は別世界になっていたわけで、むかしのSF古典名作小説を、時間の長さで、凌いでしまったのである。
そういう異世界に行くような話しは、むしろ21世紀にはなかなか、人気があったようだ。
しかし、まさか、この30世紀で、時の権力者の第一番の庇護に入るとは思わなかったのである。
それは、才能があるとかないとかではなくて、単に時間の流れが為せる業である。
さて、そこで、シンヤーマは、ジャヤコガニュアン三世に、重要な情報をもたらしたのだ。
もちろん、地下鉄道のことだ。
ジャ『なんと? そのようなものがあるのか? まことか?』
侍従長『国王さま。それは、あまりといえば、あまりのこと。そのような記録は何も残ってはおりませぬ。』
侍従長補佐見習
『こやつは、信用なりませぬ。戯れかと。』
シンヤーマ
『なら、調べてごらんなさい。』
シンヤーマは、自ら調べたところにより、この宮殿は、かつてのヨーロッパ中央ステーションの敷地の上に作られた証拠を見つけていたのである。
シン『ぼくの調査によると、この宮殿の地下には、22世紀の遺跡があるはずです。』
侍従長
『それらしき昔の名残りがあることは、分かってはおりますが、誰も、詳しく調べたことはありませぬ。無駄遣いかと。』
考古学というような学問は、もはや、無かったようなものである。
シン『地下におりる通路はありますか?』
侍従長
『あるにはあるが、禁足地である。』
シン『なぜですか?』
侍従長
『汚れた土地と、伝わる。』
シン
『あなた方は、汚れた土地のうえに、住んでいるのですか?』
侍従長
『無礼な。』
ジャ『まてまて。世は、その話しは知らぬぞよ。』
侍『高貴なお方が知るものでは御座いませんゆえ。』
ジャ『なんと? この世界に、私が知らぬことがあってはならないのだ。案内せよ。』
侍『いや。お待ちを。人間には、分というものがありまする。』
ジャ『ばかもの。そのようなもの、わたしからしたら、意味がない。案内せよ。さもなくば、罷免する。』
侍『あややややや。おまちを。わかりました。しかし、危険でありますゆえ、しばし、支度を。』
ジャ『よかろう、あす、見に参ろう。よいな?』
侍『は、は、ははあ。』
🙇
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