『クラシック音楽の反逆!』 6


 ジャヤコガニュアン三世は、当然ながら、この招待には乗った。

 

 実のところ、王は『ムンダーナ』は、嫌いだった。 


 クラシック音楽だけに特化していて、多様性がない。お高く止まっている。


 ジャヤコガニュアン三世は、残酷この上ない、独裁者だが、なぜだか多趣味多芸だったのである。


 ビョータンは、芸術性のある音楽と絵画、文学以外は、軽蔑していたが、民主主義を掲げながらも、残酷であることは、弟とよく似ていたのだ。


 それは、つまり、芸術性は、必ずしも、思想やイデオロギーを、常に反映するとは限らないと言うことだ。


 ただし、思想やイデオロギー側が選別することはある。


 『あれは、金持ちの象徴だ、とか、これこそ、労働者の音楽である。』とか。『軽薄な音楽だ。』とか。


 多くは、無意味である。


 と、ジャヤコガニュアン三世は思うのだ。


 しかし、ビョータンは、そこに、ある種の真理を見いだす。


 それは、哲学であり、それこそが、崇高な理念である、と、


 だが、シンヤーマの理想は、復讐であった。


 自分の人生をぎたぎたに引き裂いた、ジャヤコガニュアン家に対する恨みである。


 それは、10年とかの単位ではない。人生どころが、生きるべき土台さえ奪い去ったのである。


 許せるはずがなかった。


 音楽は、もちろん好きだが、今は悲しい、はかない、方便である。


     


 

 

     

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