『クラシック音楽の反逆!』 3
王の侍従長 クマレンソー
ク『たしかに、王は危ういお触れを出したが、あれには、どうしろとか、どうするとかは、なにも書いていない。あれは、単なる訓示にすぎない。クレアデスさまに対する牽制である。ちかごろ、クレアデスさまは、無職の武士を、さかんに、集めていると聴く。謀反の疑いがあるが、王は寛大だ。いざとなるまでは、動きたくない。戦争は、お嫌いであるからな。』
ジャヤコガニュアン三世
王『ああ、侍従長どの。今夜の晩餐会では、モーツアルトを演奏いたすぞ。モッチャレッリ、ではなくてな。』
ク『まさしく、ほんものですな。』
王『いかにも。しかも、シンヤーマどのが、楽譜を提供してくれたのだ。復活演奏である。「フルートとハープのための協奏曲」だ。フルートは、シンヤーマどのみずからがなされる。』
ク『あのひとは、そんなことも、できるのですか?』
王『うむ。しかも、22世紀の楽器を持っておられるのだ。』
ク『まさか! それは、国宝級ですな。』
王『さよう。なお、ハープは、わが娘が演奏いたすぞ。世界にふたつとはない楽器である。また、珍しい機械も登場するぞ。』
ク『おお。姫様が? 素晴らしい。楽しみですな。』
王『うん。はははははははは。』
立ち去る王を見ながら、クマレンソーはつぶやいた。
ク『やれやれ。王は最近機嫌がいい。クラシック音楽のおかげだな。願わくば、平和がつづけば良いが、そうもゆかないだろう。嵐が、近づいている。支度をしなくては。あちらは、内大臣にお任せだ。』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます