俺、楽器やめます。
第1話 中村美月という名の音楽好き
休み時間。俺は廊下で智也と話していた。中村が目の前でクラスメイトと話しているのが見えた。
ロッカーの方を見ると、中村のランドセルがあった。
彼女のランドセルに付いている音符のキーホルダーが、「やめる宣言」の記憶を呼び起こした。
「あれ、音楽好きなのかな」
俺は智也に話した。
「さあ?知らん」
「ヨーちゃん!美月ちゃんも楽器やるってー!」
クラスメイトで俺の従姉妹の
「あの人は?」
「ああ、あの子は私の従兄弟の吉野陽介。ああ見えて、意外と楽器上手いんだよ」
「あのなあ、そういう紹介はいいから」
「でも、やめちゃうってもったいなくない?」
さおりがその言葉を放ったとき、廊下にいた人たちが全員、「マジか」という表情になった。
中村は「どうかした?」と驚いていた。
「な、なんでもねえよ!智也、行こうぜ」
俺はイヤになって、智也を連れて校庭に行くことにした。
「ヨーちゃん、あとちょっとで授業始まっちゃうよ?」
校庭で、俺たちは話していた。この学校の休み時間は10分で短い。だけど俺は校庭に来た。
「大丈夫、それまでに教室行くから。しかも、2時間目は教室で中村が転校してきた記念の学校案内だろ?」
俺は智也に返事をした。1時間目は、お楽しみ会だったから、次は学校案内だ。
2時間目。
クラスの連中と一緒に廊下に出て、学校案内が始まった。
「ねえねえヨーちゃん。美月ちゃん、チューバっていう楽器やってるって」
俺はさおりに言われて頷いた。
俺は、前を歩いている中村を見た。
チューバねえ・・・。そういえば、智也はバスクラやってたような。
俺は考えながら中村に近づいた。
俺は息を吸った。
「楽器やりますか!?」
「え?」
中村は驚いていた。
それでも、その日は何も起こらなかった。
美月が俺のことなんか気にせず、クラスメイトとちょっと緊張した顔で会話している姿を見て、どこかイライラした。俺の中の「やめる」宣言は、彼女には全然響いてないのか? それとも、やっぱり俺が何かを変えなきゃいけないのか?でも、変わるって、一体どうすればいいんだ?
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