青春交響曲 (Aoharu-Ensemble) 𝄢 〜ガキ大将と陰キャ少女〜
迷M _りみ
プロローグ
楽器と、そしてとある少女との出会いで、俺の人生は少しずつ変わっていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
8月のある日の朝。
やっぱり言おうか。ちょっと田舎の小学校に通う俺・
そして、手を止めると大きく息を吸った。
「もう、楽器なんてやめてやる!!」
時間を無駄にするかのように俺はクラスの連中に向かってバカみたいに叫んだ。
俺の声が教室中に響き渡って、みんながやばいって顔をしてたけど、それでも構わない。
心の中のモヤモヤをぶちまけて、スッキリしたかったんだ。
「・・・お前、マジで言ってる?」
智也も、なんかビビってる。
みんなも、「あの陽介が楽器やめるのか!?」って感じだ。
ずっと、音楽をやっていた。いや、最初は楽しいって思ってた。でも、あのクソメガネ指揮者とか、上手くなりたいって焦りに押し潰されそうだった。楽器を持つたびに、なんか苦しくて、だんだんと楽器が嫌いになっていった。だから、やめる。それで終わりだ。そんな決意を、言葉にしてしまった。
俺は片付けもせずに自分の席に座った。
友達も俺が辞めるって聞いて、何か言おうとしてるけど、もう聞こえない。楽器なんかやっても、いいことなんてないんだから。そう思いながら机に突っ伏して待ってると、教室のドアが開く音がした。その瞬間、緊張が走った。誰か入ってくる。
ーこの空気をぶち壊すヤツが・・・。
転校生だった。
そいつは、担任の
「みなさん、静かに!」
先生がそう言うと、みんなが黙った。
「
中村美月って名前らしい。ふわふわしたボブヘアの女子だ。
転校生が入ってきたにも関わらず、みんなは俺の方を向いている。
転校生はどこかおどおどした感じで、ほんの少しだが、音楽が好きそうな雰囲気も漂わせてた。
俺はそいつの、ランドセルを見た。
「あっ、音符」
音符のキーホルダーがついてる。この人、楽器やるのか?
その転校生は、みんなが注目している俺の方を見ていた。
俺は興味を持ったけど、正直、今はそんなことに構ってられない。どうでもいい。と思ったけど、なんだかその子に目が離せない自分がいた。
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