第2話 俺は魔法を使いたいんだァ
俺が異世界に召喚されて1ヶ月が過ぎていた。
俺は今、新聞配達をしている。なぜ俺が新聞配達をしているのか?それは遡ること3週間前。
*
「今日で俺がこの世界に来て1週間かぁ」
「どうしたら魔法を使えるんだ!?」
「とりあえず俺をこの地に召喚した人に聞いてみるか!」
俺は以前教えてもらった俺を召喚した青年の家に行って見ることにした。
「おい!魔法を使うにはどうしたらいいんだ!?」
「ぐぉぼっ!!」
コーヒーを飲んでいたところらしい。突然の来客に勢いよくコーヒーを吹き出していた。正直笑える。
「どうしたんだいきなり!?びっくりするだろ!それに、人の家に入る時はノックぐらいしてくれよ」
「そうだった!すまんすまん!」
俺はとりあえず適当に返事した。
「って俺はこんなやり取りをするために来た訳ではない!」
「え?」
「お前!!魔法はどうやったら使えるんだ?」
「なるほど。まだ言ってなかったな。とりあえず座ってくれ」
「それとお前呼び早めてくれ。俺には『サマナー』と言う立派な名前があるんだよ!」
「そうだったのかサマナー。俺の名前も言ってなかったな。佐藤 幸大だ!今更だけどよろしくな!」
「あ、あぁ。よろしく!」
「ところで幸大は魔法の使い方を知りたいんだったな?」
「あぁ。そうだ」
「魔法はまず覚えなければならない。そして覚えるには体力がいる。そして、強力な魔法ほどたくさん体力がいる。だからひとまず体力をつけるんだ!そして俺が思う効率のいい体力の付け方は、新聞配達だ!何故かって?それはねー」
話が長かったからとりあえず頭の中で整理してみた。新聞配達ではたくさん新聞を運ぶ。そして各家に持っていくから足腰が鍛えられる。よって体力がたくさんつくということだ。
けれどここで俺の頭に1つの疑問が浮かび上がってきた。魔法を覚えるために必要なことは体力だとサマナーが言っていた。体力ぐらいならサマナーにもつけられるはず。それなのに以前なぜサマナーは魔法を使えないと言っていたのか?とりあえず聞いてみるか。
「おいサマナー。どうしてサマナーは魔法を使えないんだ?体力ならサマナーもつけれるだろ?」
「その事なんだが、俺は生まれつき魔法を覚えられない体質だ」
「要するに俺はどれだけ体力があっても魔法を覚えることが出来ないんだ」
「そっかぁ、」
「よし!俺はサマナーの分も頑張るよ!」
「ありがとな幸大!」
「おう!」
「とりあえず帰る!明日から新聞配達頑張るよ!」
こうして、俺の新聞配達生活が始まった!
*
「ハァハァハァ、疲れたァ」
俺はサマナーの家に行った次の日から一日も休まずに新聞配達をしている。流石に体力はついたのではないのか?とりあえず体力はついた。魔法の覚え方をサマナーに聞きに行こう。
「お〜いサマナー!!」
俺は勢いよくサマナーの家のドアを開けた。
「ぐぉぼっ!!」
ん?前にも見たなこの光景。
「おい幸大!前にも家に入る時はノックをしろと言ったよな!?俺がせっかく朝のコーヒーを楽しんでいたのによォ!それでどうした?今日は何の用だ!?」
「サマナー!体力はたくさんついた!魔法はどこで覚えられるんだ?」
「お〜。そうかそうか!新聞配達頑張ってくれたんだな?ありがとう!魔法は『魔法センター』というところで覚えられるぞ!」
魔法センター?すごくシンプルな名前だな。
「わかった行ってみるよ」
「ところで、どこにあるんだ?」
「少し待ってろ!」
そう言って、サマナーは紙にペンで簡単な地図を書き出した。
「よし書けたぞ!ここの印の場所が魔法センターだ」
「わざわざありがとな」
俺はそう言ってサマナーの家を後にした。
サマナーが教えてくれた魔法センターは俺の家からそう遠くないらしい。ちなみに家は新聞配達の給料と、異世界から召喚された者に与えられる援助金で借りたのだ。
サマナーの家を家を出てからだいたい20分が経った。
「よしあと少しで着くぞ!俺の魔法待っとけよ!」
ついに魔法が使えるのか。楽しみで踊り出したい気分だ。
「あ。あれか?」
正面に見えてきたのは魔法陣のかかれた看板がある建物。魔法っぽいな。とりあえず入ってみるか。
入ってみるとそこには大きくてメカメカしい椅子が置いてあった。どういう事だ!?とりあえず近くにいる人に聞いてみることにした。
「あの、すいません。この椅子はなんですか?」
「あぁ?これかい?これは魔法を覚える時に使う椅子さ」
「どうやって覚えるのですか?」
「椅子の横にあるモニターに覚えられる魔法が書かれている」
「なるほど。ありがとうございます」
なんて親切なんだ。とりあえず魔法を覚えるか。
俺は椅子に座って横のモニターを見てみた。
「どんな魔法が使えるのかな?」
「って、え!?」
なんとモニターに写っていた俺の使える魔法はお米がパラパラなチャーハンを作れる魔法だけだった。
「なぜチャーハン!?」
俺はまだまだ体力が足りないらしい。
とりあえずこの魔法を覚えておいた。使うか分からないけれど。
「よし!もっと頑張るか!」
俺が理想としている透明人間になれる魔法を覚えるのはまだまだ先のようだ。
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