番外編 sideりん2
休日は朝寝する為に目覚ましなど掛けたことのない私は、予定時刻よりも少し遅れてベッドから起き目的地に到着した。
まずは銀行でチビちゃんを買う為の資金を入手、あとはチビちゃんの生活必需品の資金。
それらを持ってペットショップへ急いだ。大金を持っていて怖いというのもあるが、チビちゃんが他の誰かに買われるのが嫌ということもある。
だが、ショップはクローズになっていた。
中には警官の格好をした人が沢山いた。
「え?」
私は困惑していた。
あの常連さんに明日のほうがいいとか議論をしていたから昨日は迎えにいけなかった。だから今日は開店時間と同時に着くように早起きしたのだ。
なのにこの仕打ち。
店の入り口で呆然と立ち尽くしていたら、白衣を着た男性が出てきた。
「早いですね、中でもう少し待っていてください。」
「え!…は?」
言われるがまま中に入り椅子に座らせられ警官達がウロウロする中、ものすごく居心地が悪い中で店内を見回した。チビちゃんの様子が知りたかったからだ。
きっとこんな状態で怯えているんじゃないだろうか?
朝ご飯ちゃんと貰えたのかな?
とか、もう色んな思考に囚われて気が気じゃなかったのだ。
少し腰を浮かせていつもチビちゃんがいる部屋を見つけた…がそこにいるはずのチビちゃんがいなかった。他の子は部屋で寝ていたりご飯を食べているのにも関わらずだ。
「嘘!買われちゃった?」
ショーケースに近づき中を舐め回すように見たけど見当たらない。
もしかして他のケージにいるかもと思い店内を見回した。
「どこにもいない。えっ?どうして?昨日買われちゃったの?でも、昨日閉店まで私居たのに…。」
ひとつハッキリしたのは私は此処にいる必要が無くなったということだ。
チビちゃんがいないのに…チビちゃんを飼うことが出来なくなったのに、ここにいても時間の無駄だ。
出ていこうとしてフッと思い出した。
あれ?私を中に入れてくれたのは白衣着ていた人だよね?あの人に挨拶して外にでればいいの?
さっき散々店内を見回したけど、白衣着た人なんていなかったよなぁ?
キョロキョロしていると、白衣をきた女性が近づいてきた。
「本郷先生をお探しになってらっしゃいますか?」
「本郷先生…は私を中にいれてくれた、男性の方ですか?」
「はい、そうですけど。」
女性は少し変な顔をしたけど応えてくれた。
「今すぐ呼んできますね。」
そういって奥へと入っていったかと思うと、代わりに男性が出てきた。
「すいません、放ったらかしにしてしまって。」
男性は頭を掻きながら軽く頭を下げた。
「えっと…チビちゃんがいないようなので帰りたいのですが、表から出ても平気ですか?」
「あぁ、チビちゃんなら奥で軽く検査してまして、もうすぐ渡せますよ?」
男性…本郷先生は奥を指してチビの居場所を教えてくれた。
ついでに、奥にも連れて行ってくれるみたいだったので遠慮なく付いていった。
何かの台に載せられてチビちゃんはハグハグとご飯を食べていて私は台の近くに駆け寄った。
(チビちゃんだ。よかった、ご飯食べてるし元気そうだ。)
いっとき諦めていたこともあり、会えた愛おしさは数倍にも増していた。
「いつ連れて帰れますか?あ、その前にチビちゃんのお金と必要な物一式にかかるお金精算お願いします!」
ここぞとばかりに自分の主張をのべ、チビちゃんは私が飼うと圧をかけた。
「いや、ここ閉店したからトイレとか売れないし、そもそも俺は店員でもなくて…。」
そう言われてマジマジ男性を見た。
あれ?どこかでみたことのある顔。
あれ?あれ?閉店したから、必要な物売れない?じゃぁ、そこにいるチビちゃんはどうなるの?
私は所々声に出していたみたいで、奥にいた人達に思いっきり笑われた。
特に本郷先生?の近くにいた先程声を掛けてくれた白衣の女性は、本郷先生?の肩をバシバシ叩きながら何か小声でいっていた。
肩を擦りながら本郷先生がいった。
「今日のところは、ご飯食べ終わってトイレ済ませたら連れて帰って構わないから。明日にはこの書類持って近くの動物病院に連れて行ってください。…あぁ、チビちゃんのお金はいらないから。」
といわれた。
訳がわからない。何故チビちゃんのお金いらないの?売り物なんでしょ?
でもチビちゃん連れて帰っていいといわれた。嬉しい!
チビちゃんが入った箱を受け取って、注意事項をきいて、よければここもご利用お待ちしてますと名刺をもらった。
少し話を聞いたら保健所に連れて行かれそうなところをボランティアに立候補をして今日きていたらしい。
そしてチビちゃん以外もだいぶ引き取りてが出ていて、今日は迎えにはこれないが後日病院まで迎えにくる人も多いみたいだと、
最初に声をかけてくれた女性が教えてくれた。
そして私とチビちゃんの生活が始まった。
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