第6話 そうですよね…
なんとかたもとに帰ってきた私とチビちゃん。
バイクを降りホクホクと今回の成果に満足の私。
「うんうん、チビちゃん救出完了〜。私、やればできる!」
と、思っていたのに、
「お馬鹿〜この中途半端な脳筋が!」
突然のホッペタへのドロップキック。
巻き込まれたバイクと咄嗟に手を上に挙げてチビちゃんを守った私。
「モモっち!怪我したら有給休暇もらうよ!あ、でも肉球気持ちよかった。」
「うるさい!霊体は怪我しない。ちなみに休暇もお給料もない。」
「ひどい、ブラックすぎる!怪我しなくても何かに当たれば痛いって記憶は蘇るじゃない。」
そう、ぶつかったり、巻き込まれたり、通常は怪我をするものも霊体は傷はつかないし、なんなら通り抜けることすらあるのに、記憶はあるからやっかい。
ちなみに、物質界のものは通り抜けることができるのに対して、霊界のものは触れる。これは、霊界のものに触れないと色々不便が出てくるのでそういう仕様らしい。でも怪我はない、痛さもない、ビックリするけど。
「それで?わかっていながら対象を床に叩きつけたり、人がいるのに考えも無しに拐ってきたりしていいと?」
モモっちが、ズモモモ〜っと轟音を背負っているように感じる。
「モモっち、さっきから語尾の"にゃ"が抜けてるよ」
「今は関係ない。私の質問に答える!」
「だってそれしか思いつかなかったし、チビちゃん救うには、一番最善だと思った、それに実際連れてこれたじゃん。」
私はチビちゃんをもふもふしながら答える。
うーん、撫ぜ心地いいなぁ。
「だから中途半端な脳筋だっていってるにゃ、叩きつけられて可哀想なのと、手だけ見られたことに関しての弁明とかは?」
「う、それはごめんなさい。とにかく消える前に連れてこないとって思ったのと、女性に同情はできないから、いっかぁと。手は女性意外、角度的にみられないかなぁと。」
とりあえず弁明してみた。
モモっちは深くため息を吐き、
「ちょっとは無い頭でも考えたのかにゃ。」
ひどい言葉を私に投げつけて、
「まぁ、それは後でいいにゃ、チビはこれから先のこと選ぶにゃ。」
と、チビに向かって選択肢を出した。
「ひとつは、ここで皆と会いたい人を待つ。もうひとつは、先に進んで次に生まれ変わる準備をする、かのどっちかにゃ。」
私に、もふもふされていたチビは考えこんでいた。
そうそうチビちゃんは、ここに連れてきた時点で元気になったよ。
だってここはたもとだもん。
「私はペットショップで売られてた。あまりご飯は貰えなかった。
日に日に弱っていく自分がわかった。そうした時に飼い主様と会えた。
飼い主様は毎日ショップに通ってて、いろんな子を優しい顔で見ていた…。
でも、ある時から怖い顔になりながら、いろんな子を見ていた。
私はその時にはもう、起きるのが辛くてただ蹲って殆どの時間過ごしていた。
唯一、顔をあげたのは少しのご飯の時と、飼い主様がきた時だけで。」
そこでチビちゃんは顔をあげて、
「助けが通じたみたいで飼い主様は私を出してくれて、病院…嫌だったけど、連れて行ってくれて、その後はご飯も沢山くれたし、遊んでもくれた。
いつ頃だったか忘れたけど、カップに入れられて沢山可愛いといってくれた。
機械の前に連れていかれて、しばらくそこで過ごしてから、あとは自由にしてくれた。その時に飼い主様が言っていたけど、劣悪なショップで他の子もどんどを輝きをなくしていたっていってた。私は飼い主様を恨んでないわ、最後の方は少しおかしくなっちゃったみたいだけど、幸せだった。だからここでみんなと一緒に、りんを待ちたい。」
ここは虹のたもと、もとい、虹の橋のたもと と呼ばれている処。
飼い主や待ち人を待ちながら、痛いこともお腹が空くこともなく、
みんな仲良く待ち人を時折見守りながら楽しく過ごせる場所。
いつかまた会える愛しい人を待つ場所である。
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