第5話 私のやり方3
チビの入ったカップを手に取った女性は、またパソコンの前に戻り、
どこかのサイトを開いてゴソゴソとやり出した。
「こんばんは〜。チビの部屋開始しま〜す。」
女性はいきなりそんなことを言い出した。
私は驚いた。いや、Live配信?なんてみたことないので、わからないけど
チビは他の人に見えないよね?
え?それとも私みたいに視える人用配信?
首を捻りながら女性の様子を後ろでみていた私は、次にパソコンの画面に映し出される文字に目をやった。
「チビちゃんいないのに、まだ配信するんですか?」
「チビちゃん、どこ?」
「最近そのカップにチビちゃん入ってないよね?」
「チビちゃんどうしたんですか?もしかして脱走したとか?」
「なんでカップだけ持ってそこにいるていで話しているんですか?」
あ、やっぱり他の人には視えてないよね?
この女性は何をしたいんだろう、何を考えているんだろう?
「何言ってるんですか?皆さん、チビちゃんカップの中で私を見上げているじゃないですか〜」
え、この人やっぱ視えてる?
カップを見るとチビちゃんがグダっとしてる。
(いや、あなたのこと見てないじゃん…あれ?これヤバい案件?え、これが原因でチビが旅立たないの?えー、モモっちどうすればいいの?これ。)
慌てる私、なぜかここにいますよ〜といってる女性、グッタリしているチビちゃん。カオス!
私がやることはチビちゃん解放、後は…後は知らん!
女性のケアは私の仕事じゃないし、あ、でも、この人どうにかしないと、
チビちゃんが解放されない?
うーーんどうしょう。
画面では、いる、いない議論。
離脱する人もちらほら。
ん?離脱?解放されない?
…そうか!
私は手に意識を集中して女性からカップを奪い、「チビちゃんちょっと我慢してね。」といい、カップを床に叩きつけた。
上手い《うまい》ことに、粉々になったカップの破片の中からチビを拾い出し、取っ手がまだ鎖に絡まっていたのを無理矢理はずし、
チビを抱えて窓から外に出た。
物体は通り抜けれない。私とチビは霊体、ならばカップは邪魔だから壊せばいい!と考えたのだ。チビは霊体だから投げつけても傷つかないのは、自分で実験済み!驚きはするけどね。実際チビちゃんビックリ目、ぐったりしていても目だけは開いていた。
そして私は乗ってきた原付きまで走り、チビちゃんを抱えながらたもとまで戻った。
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