第3話 救世主
バリケードが崩れて、銃弾がここぞとばかりに飛んでくる。
(……椅子で防ぎ続けるのにも限界か。)
ドドドドドドドドッッ!!
「キャァァァァッ!!!」
……銃が鳴り止む気配が一向にない。
ゆらと遥がお互い顔を見合うと、銃弾が発射されない隙をついて突撃した。
(あいつが持っている銃は2丁!最初はそれぞれ左と右に分かれる。天使にとって優先順位は計画を立てた危険因子の俺が一番、次が教室にいるみんな。そして、みんなを動かすことができる三木なはずだから……!)
ゆらの予想通り左から行った遥には目もくれず、みんなの方を銃で撃ちながら右から来たゆらをもう一丁で迎撃する。
(やっぱり遥は狙われていな――)
「……つっ!!!」
銃弾がゆらの肩に当たった。
「ゆら!!」
「大丈夫大丈夫!!かすり傷!」
するとみんなを撃っていた銃が遥の方を向いた。遥が近づいたから優先順位が遥が一番に変わってマークされたのだろう。
(よし…!!この状態を狙っていた!!)
ゆらと遥が銃弾を避けるため、しゃがみながら叫ぶ。
「「快斗ぉぉぉぉ!!」」
すると、椅子を持った快斗が一気に天使に突っ込んだ。
「任せとけぇぇぇ!!」
狙われていない正面から快斗が距離を詰め、椅子を使って天使を殴った。
「やったぁ!一発入った!!」
三木が喜ぶ。その瞬間、クラスが安堵に包まれた。しかし……
「は?」
天使には傷一つついていない。
「避けろぉっ!!」
ゆらの掛け声で、快斗が間一髪、玉を避けた。
ドドドドドドドド………!!
三木が叫ぶ。
「な、なんでまだ動くんだ……??!!!」
(やっぱり今の快斗の攻撃でも、無理か…。だけど……ここまでは想定内だ。)
ゆらと遥が互いに頷く。
(俺らの目的は窓の外にいた彼がここへ来るまでの時間を稼ぐこと。彼がここへ来たら俺らの生存率はぐっと上がる。)
………時間は稼いだ。彼がここへ来るまでにおおよそかかる時間。さらに、途中にいる天使をいなしながら来る時間。
―――――バリィンッ!!
天使に制御されていたドアが弾け飛ぶ。
「っ………!!!来たぁっ!!」
土煙の中から、白い仮面を被って、裾に赤いカラーが入った白い服を着た、男の人が現れた。
「ガキども!俺が来るまでよく耐えてたな。」
そう叫ぶと一瞬で、天使を破壊してしまった。
破壊音が耳をつんざく。
「え、えぐぅっ……。」
(さっきのを見て分かってはいたけど、快斗でも傷一つつけられなかった天使を破壊するなんて。)
「でも…これで!」
「「終わったぁぁぁぁっ!!!」」
「よっしゃぁ!!生きてる!」
「し、死ぬかと思ったぁ…。」
クラスのみんなが驚き、安堵し、笑い合っている。
「ふぅ〜。疲れたぁ……。」
遥がゆらの肩を止血しながら言う。
「アハハッ。お疲れ様。いやぁ今回のMVPは明らかにゆらだよ。ありがとね。」
「いや、俺じゃな…あ、お礼言ってねーや。」
「まだあそこで何やら突っ立ってるから行ってこようよ。ってかいけんの?その傷で。」
「おん。なんか大丈夫。」
ゆらと遥が白装束の男に近づいて言った。
「すいません。この度はありがとうございました。」
「ん?あぁいいよいいよ。むしろ俺一人じゃ気が付かなかったからな。今回のMVPは外で天使を狩ってた俺を見つけた右の子と何よりも俺が来るまで耐え忍いだり、クラスの流れを良くしたきみだよ。」
―――そう。窓の外で遥が見つけたのは、外で天使を次々と狩っていくこの人を見つけたからだ。そこで、俺が見えやすいようにSOSサインを送って、助けを求めたのだ。
「あぁ!そういえば君らにまだ名乗ってなかったかな。俺の名前は……そうだな。ラグナだ。よろしくな。」
「俺の名前は美咲ゆらです。」
「俺の名前は浦遥です。」
「そうか。ゆら、遥。ありがとうな。」
「いえいえ!とんでもない。僕らはただ考えただけです。」
「死ぬ危険があったんだ。十分すごいよ。……さてと、」
ラグナが教室に大きな声で言った。
「これから俺の仲間が来ることになった。一応この街の天使は全滅させたから自分の家にそれぞれ帰れ。あと…」
ラグナがゆらの方を向いていった。
「ゆら、お前は残れ。」
「え?あ、はい!」
ラグナがゆらの方に来て耳打ちした。
「悪いが、お前はうちで預かる。」
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