番外編第二話 最後まで
「思ったより絡まれるね。」
「この辺はジャンジャン団の拠点があるのでしょうね。警戒していきましょう。」
エンザート連合王国を目指し、街道を進む。そろそろフットとエルフーン国境だ。エルフーン国内にはジャンジャン団が居ない。安心は出来ないが、脅威は減る。
「引き続き護衛を頼むわ。」
「わかっています。仕事を失敗するなど女神教の信徒としての名誉が穢れてしまう。絶対に成功させます。」
「オリフ…あなた相当女神教を信じてるのね。派閥によっては私人間じゃ無い扱いだと思うけど。超信仰派だっけ?」
「私は基本は信仰派です、若干極派よってますが。別にあんな盲信するだけの暴徒とは一緒にしないで欲しいですね。」
「ごめん。」
一応同じ中央教会内でしょうに…
「さっさと寝よう!あっちの方にいい感じの洞窟あったし、さっ行こ!」
「わかりました。ではあそこにしましょう。」
奥の方に厚めの布を敷き、寝転ぶ。これは酷い寝心地だ。次からはもっと厚い布を持ってこようかしら。
目を瞑り、想像する。
夜が明け、ズキズキと痛む背中を擦りながら、体を起こす。洞窟の外に出た。早速持ってきた携帯食料を食べながる。パサパサで無味、でもそれが幸せ。少し外の風に当たる。夜の事を思い出し、改めて決意する。無目族の権利の獲得を。
オリフはなかなか喋らない。質問したりすれば答えるが、最低限の受け答え以上はしない。
静かな旅路を一ヶ月。エルフーン国主要都市ロスカチについた。通称鉄の街だ。近くにある良質な石炭と柔軟で強い鉄が合わさるロスカチ産の鉄材は有名だ。およそ150年を超える製鉄技術のなせる芸術と言える。
まぁ…鉄に興味は無い。ロスカチは転移魔法の港がある。そこからエンザート連合王国 バリツァー領 首都リーアに飛ぶ。そこで学校を作るのだ。それを足がかりに、偏見を取り除いていく。長くなるだろう。
金を稼ぐ為、酒屋で働いた。
信用を得る為、少額で文字を教えた。
でもそのせいで処刑されそうになった。
オリフは酔いの加減を間違えて、よく酔い潰れる。
ヨーレは喧嘩っ早く、問題を起こす。
傭兵は笑い、彼女を守る。
オリフは人の笑顔が好きだ。
ヨーレは友達の幸せが好きだ。
そんな二人はエンザートの煙たい道を開いて行く。
4年後 リーア南区 外れの教会
「オリフ。長い間ありがとね。事前に頼んで無い仕事もやってくれて、助かったわ。」
「別に良い。こちらも学ぶ事はあった。しかし、こう長い仕事を終えると、言葉にならない不思議な感覚に陥る。」
「なに?黄昏れて。でもわかるわ。凄く感慨深いね。4年かぁ…オリフはこの後何をするの?」
「今募集をかけている開拓用の部隊に入ろうと思う。」
「そう…頑張ってね。また縁があったら飲みにでも行きましょ。」
日は落ち、街中の窓が淡く光りだす。暗い道の真ん中でオリフは決意した。今後も人を助けると。
女神教中央教会の派閥解説(見なくても良い)
女神原理を教えとする女神教の中でも最大規模であるのが中央教会である。
中央教会は女神原理を 信仰 行動 結果 の要素に分解し、それを併せ持つ信者を聖人とする解釈を持つ。
それは実力主義の面を持ち、中央教会の影響を受けた国にも強く出ることが多い。
①信仰派
ただ女神原理を中央教会の基準で信仰する派閥。派閥と言う程活動をしないが、人数はトップ。
②支配派
中央教会を世界のトップにする為に動く派閥。野心を持ち、極派のような実力主義を併せ持つ。中には統一帝国のような独立した国家機能を望む者もいる。
③極派
女神原理の中でも実力主義に重きを置き、怠惰を罰する事を善とする派閥。これもあまり教会内部での積極的な活動はしないが、極端かつ冷酷な処罰を下すことも多い。しかし功績を正面から認めるという面もあるため、結果的に有能な人材が多く所属する。
④超信仰派
三階分離を人や生物に当てはめ区別する派閥。三階分離とは
一を神
二を信徒
三を動物
として階層分けする概念。
別に功績を残す必要も無い為か、所属する信者は多く、派閥としては大きい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます