番外編第1話 私は無目族
私はイノリ−ヨーレ。
そうして今さっきフット王国の王室に策の一つを提案したが、即却下されてた所だ。無目族と言うだけで、提案一つ聞いてもらえない。もうここでは活動の効果が薄いと判断し、他国での活動に切り替えることにした。まず私は傭兵を雇うことにした。移動の時は護衛として。
現在のフット王国では、郊外にいる無目族達の集落や、近しい種族のエルフ達が多く居る為、多少は活動しやすかった。しかしこのままでは何も出来ない。そこで、エンザート連合王国へ行くことにした。無目族の差別は少しあるが、それは広く知られない異種族全般に向けられるソレであり、フット王国程活動しやすくはないが、色々な活動をし、現状を変えるには、ぴったりだろう。
やはり今を変えるには挫けない心が大事なんだろう。エンザートでは、きっと厳しい目を向けられるだろう。頑張ろう。
それはそうと、傭兵を雇う条件を決めなければならない。お金が少ない今は、贅沢は言えない。
どうしようかと街をフラフラしていたら、教会前で鍛錬中の、剣士に会った。名はオリフというらしい。雇う事は出来ないか?と頼むと少額で雇われてくれた。本来裏を疑うべきだが、かといって今贅沢は言えない。取り敢えず少額で雇う事が出来た事を喜ぼう。
そうして出発の最低条件は満たした…様な気がするので、エンザートへ出発することにした。ちなみにオリフの雇用期間は4年にした。旅の先が決まってるとはいえ、今世界は戦争後すぐなので、ピリピリしている。長めに雇って後悔することはない、だろう、多分。
雇って3日目。改めて私の紹介と条件等をしっかり話すことにした。信用は大事だ。
お金は無駄遣い出来ない為、すっごいボロ宿で、安い肉を肴に飲み会兼自己紹介をする事にした。
「私はイノリ−ヨーレ。無目族の差別を無くす為に活動してる活動家よ。こんなものしか無いけど…よろしくね。」
「私はオリフだ。エンザートに個人的な用事が…というか行きたいので、折角だからと傭兵として仕事を請けた。よろしくたのむ。」
「そういえばオリフ。何であんな少額で雇われたの?4年よ、4年。長いわよ。」
「私はまだ修行中の身だ。しかも仕事を完全に果たせる自信もない。それに女神様も、多くを望む様な事を良くは思わない。」
「ふ〜ん女神教なんだ。フットじゃあんまり見ないわね。」
「まぁ…私はフットで産まれた訳でも、育った訳でも無いからな。出身はエンザート連合王国だ。つまり家に帰るというだけだ。」
「里帰りに私と旅ね。なかなか楽しめる仕事を提供出来ると自信を持って言えるわ。」
「…だろうな。無目族はほぼ全ての国が”異”と判断することだろう。まぁ金は受け取ったからな、絶対に守り切ると誓おう。女神様からの恩を裏切らぬ為にも。」
「期待してるわ…オリフ。」
取り敢えずは上手くいったであろう自己紹介は終わり、飲み会が始まった。私は少し酔いたい位だったが、オリフは完全に酔ってしまった。そこで言っていたエンザート国軍に所属するという旨の話、目的をより明確に把握した気がする。知れば信用は上がる。思ったより信用できそうかも。
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