第11話 異世界戦争

 ドキドキしながら寝るのは始めてだ。寝れそうにないが、それにしてもクレシーの寝顔か…もう私は彼女が好きだ。…何も考えず、寝るか。

 特に話は無かったが、寝てる途中のクレシーが寝言で言ってることが気になった。何語なのだろうか?それとも意味のない事なのか…どうでもいいことも頭を巡る。嫌になりそうだ。

 ずっと胸が鳴り続け、深く眠る事は出来なかった。しかし夜は明け、またフィーレへの道は続く。

 しかしさっきから空から不思議な力を感じる。何なのかは分からないが…不吉な気配だ。クレシーはまだ寝てるが、おぶってでも先に進もう。留まるのは不味い気がする。厚めの布で包んだクレシーを背負い、慎重に走り出す。胸の高鳴りは収まらない。ドキドキなのか、不安なのか…両方か。


 シュリンプ内部 管制部

「何だと?」

「ですから、何故か大規模魔力反応が止まらないんです。」

「こんな大魔力反応が原因不明だなんておかしいだろ!」

「私に言われましても…ただのオペレーターには分かんないですよ」

「まぁそうだな。取り敢えず使者達を管制部まで連れてきてくれ、知恵は多ければ多い程良いしな。」

「は、はい!エンザート使者2名に伝達!至急管制部まで来てください!繰り返す、至急管制部まで来てください!」

「管制部まで来てだって。面倒くさいけど…あの焦り様、何かあったんだろうね。」

「急ぐか、なんだか嫌な予感が………なんだアレは…!」

 シュリンプ上空に黒い渦が出現する。渦の中から空船が次々と出てくる。

「何が、起きてる。空船が10、20機…いや、もっとだ!まずい!取り敢えず隠れ…!」

 ゴーン!

 空船から放たれた光線がシュリンプ中央の区画を貫く。

「カハッ!カハッカハ…痛ったいな…全く何が起き…ってパロル!大丈夫!?」

「いや…何だあれ、空船にしたって、あんなの知らんぞ。」

「違う違う!怪我!足潰れてるけど…」

「あぁ…もう助かりそうに無いからな、少し話を聞いてくれ、いや聞き流してくれ。」

「どっちよ…まぁいっか。何?」

「俺、母さんに恩返す為に頑張ったよ。必死に勉強して、軍に所属して、血を吐いても、絶対に訓練やめなかったよ。やりすぎか…母さん、育ててくれてありが………」

「遺言ね。絶対に家族に伝えるわ。祖国にかけて!」

 

 シュリンプ上空 最も大きい謎の空船内部にて

「ガメッシュ博士!報告します。攻略目標一個に致命的打撃を与える事に成功!」

「よ〜くやった。報告ご苦労。」

 老人…ガメッシュ博士がコツコツと前に歩きながら語りだす。

「綺麗だ。我々はもうこれを見ることもないだろうに…この世界には、まだ自然が残っているのか。まぁ、これも運命なのだろうな。滅びから逃れ、ここが次なる故郷か…我々はここで抵抗する現地民と争うのだろう。ここは一つ作戦名でも考えるか、便利だしな。…ここは我々の住んでいた世界とは異なる世界…そして、ここで現地民と戦争だ。そうだ!この作戦名…戦争の名はこうだな。異世界戦争、と名付けよう。我々に属さない愚民の殲滅だ!ハッハッハッ!愉快だ!」

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