第9話 ジャンジャン団
「あ〜。こちらイッパニア、転移魔法での転移を頼む。転移対処のタグは近くのエンザート使者3人と私で頼む。転移の順序は任せる。さて、君たち、さっきも通信していた通り転移魔法を要請した。」
またまた転移か。あまり使う機会の無い魔法を、こうも連続して体験できるとは…なかなか無い貴重な体験だな。さていつも通り目の前が真っ白に……。
「何者だ!!」
大きな女性の声と共に目を開ける。
「何者って…エンザートの使者で通ってたはずじゃあ…。う〜ん、ここは…洞窟?…えっ何処?」
「?知らんのに転移魔法使ったのか?変な奴だな。………つまり我々ジャンジャン団を知らずここへ転移した。そう言うのだな。」
……これはミスなのか?
シュリンプ内部にて
「ついた〜!」
「目が覚めたら機械ばっかだな。それにしても転移は慣れないな。」
「…もうひとりの奴は何処だ?」
「あっ!ヤイル…さん。まぁいいかヤイル居ないじゃん。死んだ?」
「…これはまずいか?転移失敗なんて事は…」
バタバタと奥の部屋から男が、走ってくる。
「すいません!転移先の指定がうまくいってなかったようで…ヤイル…?さんは完全に追跡不能になってしまっています。近くに転移したなら分かるので、本当に何処に居るのか…」
「まじ?あの陰気野郎どっか知らん場所に転移したの?これ大丈夫?」
「捜索するにしても、当たり一つ無いとなるとな。任務と同時に捜索…どっかに依頼するか?」
「私コア帝国で使えるお金あんまり無いよ。」
「俺もだ。この先どうするか。う〜ん…」
突然シュリンプ内で、警報が鳴る。
「襲撃を確認。襲撃を確認。数はおよそ900。数はおよそ900。シュリンプを停止。要塞形態への移行を開始します。揺れに注意してください。」
「襲撃、しかも900だと?多すぎるだろ。何処からそんな大人数の襲撃者が…」
「恐らくジャンジャン団だろうな。」
「ジャンジャン団?ふざけた名前ね。」
「ジャンジャン団ってなんだよ。」
「ジャンジャン団は、我々の様な資源、土地、その他諸々の多くを所有する要塞等に襲撃をかけている盗賊のようなものだ。1000年以上も歴史を持っていて、未だ消えることすらない巨大組織だ。」
「1000…盗賊の範疇は超えてるだろ。それ」
「なんか数字が大きくて、なんというか…現実味がないわね。」
ジャンジャン団 拠点にて
「取り敢えずお前の話を聴いてやる。こっちに来い、部屋で話そう。」
「ジャンジャン団…案外話の出来る奴らなのか?俺の認識では、巨大な盗賊って感じなのだが。」
「否定はしない。ただ話の出来ない賊は長くは持たない。つまり話は出来る盗賊だ。」
「話は、ねぇ。俺のことを始末とかはしないのか?」
「指定転移でこれる場所ではない。ミスといえばミスなんだろう。起きてない事を、疑うほど疑い深い人間は、こんなところにいない。ほれ、ついたぞ」
思ったより普通の部屋だ。この洞窟に住んでるかと思ったが…普通の家に住んでるのか。
「さて話を聞こう。私はクレシー。お前、名前は?」
「俺はヤイル。イケメンだ。」
「イケメン…?まぁいいか。次に、所属、身分とかの情報は何かあるか?」
正直に言うのは不味い気がする。さてどうするか。素直に言うか、嘘を付くか……考えていると、ドアが開く。
「クレシー。襲撃だ。そのへんの武器拾って表に出ろ。って誰だお前」
「こいつはヤイル。イケメンだそうだ。」
「イケメン…?そうか…まぁいいか。お前も戦え。後で問い詰めてやる。」
戦えって…えっ何故?疑問は浮かぶが、流れるままに戦場へ出る。そこにいたのは、特徴的な黒いマーク。かつて一緒にいたパンドラであった。
魔法の設定説明
この世界の魔法は、主に3つの要素があり、揃うことで魔法となる。
一つ目は魔力。基本全ての生物の体を流れる魔力。これをどう使うかで、魔法の内容は大きく変わっていく。
二つ目はコード。昔は式と呼ばれていたもの。魔力がどう使われ、どう変化するかを細かく決める。まっすぐ飛ぶとか、速さはどうとか。ちなみに炎や、氷とかの魔法は、何かを媒介に魔力を変化させるため、代償が必要である。魔力を持つものの、体の一部などが、代償に使える。
三つ目は対象。何にどうするかを書いたコードも、対象ぎ無ければ何も起きない。現在は、タグと呼ばれるもので、対象を決めたり、自分からどのくらい離れているか、等で対象を設定する。ちなみにタグというのは、人によって魔力の波長、性質が、少しづつ違うという性質を利用して、対象設定を簡潔にまとめる技術である。簡単に言えば魔力に名前をつけるということである。これをさらに簡単に設定出来るのが、タグセットという技術である。
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