第8話 フラミンゴ社
「…ねぇ、少しも話さないのはどうなの?」
アガサが語りかけてくる。
「なぁ、ヤイル?だったか。ほら、お話したいそうだぞあいつ。相手してやってやれ。」
馴れ馴れしく話しかけてくるパロル、なんか面白そうなのでその場のノリに乗る。
「…そうは言ってもな〜。あいつ面倒くさそうだぞ」
「たしかにな。でもでもかまってやらんと何しでかすかわからんからな〜。」
アガサが机を叩く。
「あ〜そう。初対面のくせにノリよく私を除け者にしようてのね。あ〜もうサポートしてやらない。」
「ほらほらな!ヤイル。あいつやっぱ面倒くさいぞ。」
「でもパロル仲良くしろって話だろ?」
楽しくなってパロルとアガサをいじる。久しぶりに平和な会話出来て、凄く楽しい。こんな話してれば終われば楽しいまま帰れるのに。
「なんなのよ!私のこと嫌いなの?ねえ!初対面でしょう?これおかしい、おかしいわよ!ねぇ?」
大人しく座ってたアガサが勢い良く立ち上がってキレる。
「すまんすまん。何かいじるの楽しくってな。お前ツッコミの才能あるよ。」
パロルに続いて
「ごめんなアガサさん。悪気はないんだ。」
「さて。明日から仕事の始まりだ。さっさと寝るぞ。」
「…わかったわ。おやすみ」
「おやすみ。」
明日から仕事だ。少し楽しみだな
フラミンゴ社所有の鉱山にて
「カトウ死んだのかな?捕まったのかな?」
派手な服を着た男が、少年と話している。
「さぁな僕は知らん。」
「パンドラも寂しくなるなぁ。今日はパーっと飲むかな。そういう気分だし。」
「いってらっしゃいディスコ。顔隠すのだけは忘れずに。僕は寝るよ、することないし。」
「おやすみエルマ。暖かくして寝ろよ。」
「余計な御世話だ」
コア帝国 アリ領 エニクス市 入国管理局にて
「エンザート連合王国からの転移を確認。タグ、パロル、アガサ、ヤイルだったな。少し待ってろ」
「無事転移出ましたね。」
「私転移苦手なの。眩しいし」
「なんかワクワクして好きなんだけどなぁ」
「はい…確認する。タグ、パロル、アガサ、ヤイル以上三名の入国を許可する。他国からの訪問とは言え、国内での犯罪行為は通常通り罰する。要するにこちらの法で対処を行う。では、ここで私は失礼する。」
入国管理局の職員は裏の方にある建物に歩いていく。転移は慣れない。最近何故か沢山転移したせいだろうか。でも入国はうまくいったようで何よりだ。取り敢えず、フラミンゴ社の主要拠点であるシュリンプへ向かうことになった。シュリンプは現在、ここエニクスの郊外で、停止しているそうだ。少し遠いが、今日中に行けるだろうか?
だいぶ歩いただろうか?エニクスからは離れ、見上げる程の大きさの、要塞を見つける。フラミンゴ社の主要拠点シュリンプだ。エニクスより少し小さい位で、ほぼ街が、動いてるようなものだ。
「ほえ〜こりゃすげぇな。」
「歩く街みたいね。工場とかも乗せるなんて、フラミンゴ社も大胆ね。」
「調べたときによると、コア帝国内にあるフラミンゴ社所有の鉱山を回って材料を集める為に工場を移動させているそうだ。主要動力は魔力による多脚機動。本来は工場だけだったそうだが、武装化に伴って、本社もシュリンプ内に構えることにしたそうだ。アガサも見たこと無いのか?ああいう移動拠点。」
「解説ご苦労パロル。でもエンザートにあんなのあったっけ?」
「一応シップの所有する巨大空船ホワイトなら、エンザートでも見れたりするが、最近は来てないしな。」
「魔力といったが、魔力をどうやって捻出してるんだ?パロル。」
「さっき言った鉱山で採れるテセシウムを、分解して、魔力に変えるそうだ。」
「テセシウムってそんな量の魔力こもってるんだ。」
「性質が違うだけの魔力だからな。俺も詳しくは知らんが、固まるだけの魔力だと言ってる学者もいる。」
「さてパロル教授の授業はおしまいだ。魔法通信を行う。」
ジージーと、支給された帽子から音が鳴る。そして。
「こちらシュリンプ通信管理局だ。タグを確認する。少し待て…………エンザートの使者か。待ってろパトロール中のスピルリナを向かわせる。では」
「スピルリナ?なにそれ。私知らないんだけど。」
「少しは調べておけアガサ。スピルリナはフラミンゴ社の所有戦力だろう。」
「わかったわ教授。」
「パロル…あの土煙がスピルリナだったりするか?」
「知らん。でもあれは〜獣じゃないか?」
「私あんな獣知らないわよ。」
煙が近づく。…やっぱりスピルリナだった。
「え〜と。あんたらか?エンザートの使者は?」
「そうよ!私はアガサ。すごいオペレーターよ」
「俺はパロル。すごいイケメンだ。」
「俺はヤイル。すごい…すごい……」
「無理すんな。すごいイケメンが近くにいる。これで満足しな」
「…変な奴らだな。私はイッパニア。スピルリナのリーダーだ。」
いきなりリーダーかよ…
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