第7話 罪滅ぼし
カトウが吹っ飛んでいく。
「お前は…誰だ?エンザートの関係者…?」
黒い翼を背中に仕舞うように畳んだ女…黒翼連隊の隊長で、エンザート国軍大将、バルリーアだ。
エンザートの王家の始まりから仕えている有翼族の戦士で、何年生きてるか分からないくらいの人だ。有翼族は翼が背中に生えているが、直接はためかせたりするのでは無く、魔力を通じて空を飛ぶ、一種の魔法装置に近い効果がある。本来は天上の地に住んでいて、他の場所にいる有翼族は天上の地にいる有翼族に堕翼者と馬鹿にされているらしい。
「私は…特殊開拓戦力第一隊ノース分隊のヤイルです。えっと、あ〜…」
「特殊開拓戦力第一隊は全滅したと聞いていたが…まぁいい。今襲撃している奴らは何者だ。」
「あっ…パンドラという反政府軍だそうです。フット王国の転覆を狙っているとか…」
話を続けようとすると、
「わかった。つまり奴らに追い詰められたからコードブラックを発信した…あっているな?」
「はい。」
「貴様の処遇については後で話す。そこで座ってろ。」
威圧感が強くてうまく話せないし、言葉が詰まる。軍の訓練の時よく空を飛んでたけど、こんな人なんだな。背高くて、美人…って国の英雄相手に何考えてるんだ。
キィーン…
足元が淡く光る。これは…転移魔法?そういえば前も見たな。……ってまてまて誰が使っ…!
目の前が真っ白になる。
「こんにちは。ヤイル…だったか?」
目を開ける。ここは通信本部か…で目の前の人…!?
バン!
「こんにちはロールマイン元帥!今回の数々の無礼この首で償うつもりです!」
「なにを急いで…?あと別に罪を償う必要は無いぞ。それに一目見ただけでで私に頭を下げるとは…忠誠か、はたまた媚びを売る為か…どうでもいいか。改めて、私はロールマイン−エンザート−ニア。エンザート国軍元帥だ。さて、会話を再開しよう。まず伝えておくが、お前の動向は知っている。エンザート国軍の識別タグを埋め込んでいるんだ。位置は大まかに分かる。でだ、わかっていると思うが、お前の未来は3つある。1つ、お前は軍に入って今後も活動する。2つ、私の依頼を受け、罪滅ぼしをする。3つ、エンザートに剣を向け、ここで死ぬ。さてどれだ?」
「2つ目が何なのか分からないんですが…それに牢に入って罪滅ぼしは出来ないのですか?」
「それは却下だ。別にそれでも問題ないが、それはもったいない。ちょうどやってもらいたいことがあってな、それを依頼したい。死ぬも戻るも自由だが……わかってるな?」
「2つ目を選ばせていただきます!」
「よろしい。素直な事は良いことだ。では詳細はヴィーヴィンに聞くと良い。彼は作戦室で待っているぞ。では失礼する。」
扉が閉まり緊張が解ける。取り敢えず言われたとおりに作戦室へ向かうことにした。
ガチャ
「来たか…まず君に言うことがある。」
ドアから体が出きってないあたりからヴィーヴィンが話し始める。
「申し訳無かった。前任のアラールの独断とは言え、特殊開拓戦力には辛い戦いを強いてしまった。あんなのはエンザートの指示ではない。今はエルフ達との会議を進めている。改めて申し訳無い。」
「…それは、いえわかりました。それで、作戦というのは?」
「あぁ…今回フラミンゴ社との契約で、新兵器の開発の援助を決定した。それにあたり、フラミンゴ社から提示された賊の排除を君にお願いしたい。」
「賊?」
「そうだ。詳細はフラミンゴ社で聞くことになるだろうが…取り敢えず戦う事にはなる。一人ではない。君にはサポート、というか仲間がいる。パロル軍曹と通信本部オペレーターのアガサだ。」
「パロルだ。よろしくな」
「アガサよ。これからよろしくね。」
二人がゆるい感じで挨拶する。
「よろしく」
「挨拶は済んだか?まぁいい…では私は失礼する。今日は仲を深めておいてくれ。明日にはフラミンゴ社に行くことになる。では失礼する。」
フラミンゴ社はコア帝国に本部を置く中立の組織だ。主にテセウス手術で使うパーツ、移動に関するパーツを製造販売している。そして、フラミンゴ社にはスピルリナという社内戦力があったはずだ。相手の厄介さが想像出来てきた。
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