第25話

食事をしながら蘭が言う。


「同室の先輩で、僕に良くしてくれるの飛鳥さんくらいですもん」


「そうか?他の先輩もお前の面倒を見てるだろう?」


飛鳥がそう言うと、蘭はぶんぶんと首を横に振った。


「そうでもない。親身になって色々教えてくれたのは、飛鳥さんだけだ」


そうだろうか。


少し熱っぽい目で見られ、飛鳥は調子が狂ってしまいそうになる。


「そうか?ほら、早く食わないと時間なくなるぞ」


まだ食べ終わらない蘭に、席を立ちながら飛鳥が言う。


蘭は「待ってくださいよ!」と叫ぶが、飛鳥は「客が来てしまうだろ?」とだけ言い、その場を去った。


後輩に懐かれるのは良いのだが、飛鳥はただ懐かれているだけではないような気がしてしまう。




日が暮れて、その日の営業が始まる。


飛鳥の元には、馴染みの政忠がやってきてくれた。


頻繁に通ってくれる彼は飛鳥の上客であり、信頼している客でもある。


凛々しく端正な顔立ちの政忠は、飛鳥が嫌がることは決してしないし、いつも優しく

扱ってくれるところも信頼できる点だ。


どこかの荒々しい中年客に抱かれるよりも、よほど良いと飛鳥は思っている。


それに、体の相性が良いことが一番の部分かもしれない。


飛鳥は、政忠に通ってきてもらえて有難いと思っていた。


政忠は定期的に通ってくれているので、飛鳥は行為の好みを熟知している。


いつもの通りに政忠への奉仕を終えて身支度をしていると、政忠が「あの……」と話しかけて来た。


「どうしましたか?」


改まった雰囲気で、政忠は正座をしている。

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