第22話

あらゆる男たちを相手にすることは、互いに仕事だし嫉妬をするのはお門違いだと分かっている。


だから飛鳥は、和音の愛だけを胸にひたすらに奉仕をするのだった。


それは、政忠であっても同じこと。


客からすれば、心がないと思われるかもしれないけれど……。


和音との恋は、許されないことだ。


もし東堂に見つかりでもしたら、どんな罰を与えられるか分からないだろう。


だから、こっそりと愛を育むしかない。


そんなある時、飛鳥が炊事場に水を飲みに行くと和音がやってきた。


会えたのが嬉しくて飛鳥が微笑むと、和音が何やら手渡してきた。


そして去り際に、「一人でこっそり読んで」と耳打ちしてくる。


和音に渡されたのは、一通の文だ。


飛鳥がこうして誰かに文をもらったのは、初めてのことだった。


それもあり、彼の胸は高鳴った。


『こんなことをしてもらえるなんて、僕は幸せだ』そんな風に思いながら、飛鳥は自分の部屋に戻る。


文を他の人間に見られたら、厄介なことになりかねない。


だから飛鳥は、部屋に誰もいない時に文を開いた。


するとそこには、飛鳥への想いがしたためられていた。


「顔が見れない時でも、いつも想っている」と……。


書かれている文字は美しく、和音がこんなにも綺麗な字を書くのだと飛鳥は感嘆したほど。

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