第11話

程なくして、和音が飛鳥の中から指を抜く。


「だいぶ解れたな。いつも使ってるから、解れやすい」


そう言うと、和音は飛鳥の両脚を抱える。


「それじゃ、挿れるからな」


和音の宣言に、飛鳥はコクコクと頷いた。


すると和音は自身の先端を今か今かと待ちわびるその孔に宛がう。


それだけでも、飛鳥は電流がピリッと走ったような刺激を感じる。


そして数回先端で孔を突いたかと思うと、ずっしりとした質量のものを押し進めてきた。


口で奉仕している時もそうだったが、飛鳥がこれまでの客にもいなかったほどの質量を持つそれは、飛鳥の中をきつそうに進んでいく。


「うっ……くっ……」


飛鳥が思わず声を出すと、和音は心配そうに顔を覗き込んでくる。


「大丈夫か?お前の中、かなりキツイぞ」


「大丈夫……これくらい……」


我慢しているわけではない。


和音のものが自分の中にあること自体が、嬉しいのだ。


彼のものなら、喜んで受け入れる。


これが、許されない行為でも……。


「お願い……ちゃんと挿れて」


飛鳥が懇願すると、和音は「よし、分かった」と言い、どんどんと奥まで進んでいく。


「あっ……凄い……」


痛みさえも快感に変わる。


「痛かったら言えよ?」


そう和音に問われても、飛鳥は首を横に振る。


和音のものが、ついに飛鳥の最奥に到達した。


「動くからな、ちゃんと力を抜いておけよ」


「うん」 


飛鳥の返事を合図に、和音は律動を開始する。


初めは痛さもあったが、程なくしてそれは快感に変わる。


和音のものが自分の中で動いていることで、飛鳥は生きている実感が持てた。


「僕、生きてる……」


「そうだ。お前はここで生きてるんだ」


和音とすることで、飛鳥は生きる意味を見出す。


しかし、彼との戯れは今回きりとなるのだろうか。


いささか空虚な気持ちになりながらも、飛鳥は和音との行為に没頭した。


「もっとくっつきたい」


和音がそう請うので、飛鳥は彼に問う。


「どうすればいいの?」


「俺の膝の上に来い」


和音の言う通り、飛鳥は身を起こして彼の膝に跨る。


そしてゆっくりと腰を下ろしていく。

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